My Newspicks 2016/06/27 - 2016/07/03
先週(2016/06/27 - 2016/07/03)のNewspicks。
それぞれのニュースへのコメントは埋め込んであるリンク先へどうぞ。
Facebookの多言語戦略
これを最初見て、どういうことだろうと思っていたが…
とのことだった。実際に使えるようになっていたので試してみた。翻訳の質はこれからの進歩に期待。
自動運転車関連
Teslaはずっと気になっているのだが、先週はこのニュースをきっかけにいろいろとニュースを追ってみた。
BMWのこのニュースでMobileyeが気になり…
Mobileyeを調べる中で、2月のこの記事にたどり着いた。クラウドソーシングを絡めた事業がわからなかったのだが、これで理解できた。
ここでもMobileyeが出てきた。
ソフトバンクの言う自動運転は少し他社と違っていて(スマートモビリティ)…
ソフトバンク(SBドライブ)が目指すものは、Baiduの最初に目指すものと近いかなと。それにしても、Baiduの動きは中国にいないとわかりにくい。
その他
長年の論争にピリオドが打たれるか。日本はまた事情が異なるが…
そんなに高くないんだから、Evernoteを便利だと思って、3台以上同期したいんだったら、有料プランにすれば?
Nexusにどのような問題があって、この新自社ブランドはどのようにそれを解決しようとしているんだろう。
これは凄い。速いは正義。
普通に考えると、意味ないと思うのだが、米国もそんなに馬鹿じゃない。彼らの真意は何だろう。
Botというインターフェイスが本当に最善なんだろうか… ちなみに、PHPだった。
他のPicksは私のNewspicksページヘどうぞ。
スライド2.0
PowerPoint禁止令が出ている会社があると聞く。また、PowerPointを使っても、既定のスライドテンプレートは使うなと教えるプレゼンの本もある。
スライドがこんなに一般になり、多くの人が使うなか、実はスライドに縛られているのではないかと感じることがある。
理由は2つ。
- デザインに凝るにしては、中途半端なデザインのスライドが簡単に出来てしまうことで、逆にデザインを悪化させている
- デザインに凝りたくなくても、変にデザイン性を重んじたツールになっているので、考えなくても良いことを考えなくてはならなくなっている
つまり、多くの人はデザインはそんなに凝らなくて良いのだ。
これが一世一代のコンペなら、スライドには命かけよう。
これが数百人の前のプレゼンなら、スライドも多少は気に掛けよう。
だが、社内の説明だったり、技術系勉強会だったりした場合、デザインは二の次で良い(何度も言うが、デザインが重要なイベントはたくさんあるので、それらを除く)。
デザインよりも中身。そんなときのための機能を、私が現在勤務するIncrementsのQiitaに組み込んだ(私がではなく、同じ会社のエンジニアが、だが)。
詳しくは会社のブログを見て欲しい。
この「スライドモード」で私が何が革新的と思ったかというと、1スライドに収まらなかった場合にも、気にせずに縦にスクロールしてもらえば良いじゃない? と割りきったところだ。
あなたも見たことがあるだろう。
「XXXX(その1)」、「XXXX(その2)」というタイトルが続く何枚かのスライドを。
もしかしたら、「XXXX(1/5)」、「XXXX(2/5)」… となっているかもしれない。それは作った人がよほど律儀なのだろう。
または、あなた自身が1枚のスライドに収めるため、フォントサイズを小さくした経験があるかもしれない。やっと収まったと思ったら、収めなければならなかった内容を書いていなかったことに気づき、それを書いたら、また1枚に収まらなくなり、再調整。またはその逆。そんな不毛な経験はきっとあるだろう。
デザインより中身。
いつしか、スライド作りはその本質を忘れ、スライドデザインという本質では無い作業が主タスクになってしまっていたのだ。
Qiitaスライドモード。Markdownで書いていくだけ。凝ったことはできない。だが、中身を主役に取り戻すための、重要な機能になるような気がする。
開発したmizchiは「雑」という言葉が口癖なのだが、今回のスライドモードは「雑な内容を雑に書いて雑に発表する」ためのものだ(ここで言う「雑」は本当の意味の「雑」じゃない。知りたい人はオフィスに遊びに来て、彼に会えばわかる)。
是非、試してみて欲しい。
以上、雑な内容を雑に書いて雑に投稿した ;)
Quiet Riot
久しぶりにサンフランシスコに滞在している。IT系のカンファレンスで良く使われるMoscone Center近くの宿だ。Googleに勤めていたころはGoogle I/Oで良く来ていた。
サンフランシスコのダウンタウンに宿泊すると、急にアメリカンなジャンクフードが食べたくなることがある。今夜もご多分にもれず、どうにも我慢できず、夜の11時過ぎなのに、2軒行った後だったのに、来てしまった、Moscone Centerの真裏にあるMel's Drive In。Moscone Centerから近いこともあり、ここで食事をしたことのある日本人も多いだろう。
今回の訪米の目的はMicrosoftの技術カンファレンスであるBuildへの参加だ。Windows 8から"Build"と呼んでいるらしいが、私の世代的にはPDC、Professional Developers Conferenceだ。Microsoft技術で飯を食っているときは、Microsoftが行うこのPDCでどんな新しい技術が披露されるかが楽しみだったし、Microsoft社員になってからも、どんなものをPDCで公開できるのだろうというのが励みだった。
Mel's Drive Inは古き良き時代のアメリカを残すレストランということもあり、25セントを入れると好きな曲がかけられるジュークボックスが装備されている。今夜も、少し酔ったこともあり、何かかけようかと曲を探し、"Cum On Feel the Noize"を選んだ。
この曲を演奏しているQuiet Riotは、若い人は聞いたことの無いバンドかもしれない。80年代に一世を風靡したと言われてはいるが、実際には80年代を生きていた人でも知らない人は多いだろう。今は亡き若き天才ギターリスト、ランディローズが在籍していたことで知っている人も多いかも知れないが、"Cum On Feel the Noize"くらいしかヒット曲は無い(しかも、この曲はランディローズ脱退後の曲だ)。ここMel's Drive Inでもこの曲しか入っていなかった。
Buildの初日のキーノート、すでに日本でも報道されているように、多くの発表があった。Windows 10のAnniversary UpdateでWindows Inkが拡張される話、Windows Helloがサードパーティにも公開される話、bashを始めとしたLinuxサブシステムが搭載される話、Cortanaを中心としたCognitive ServiceがAPIとして整備され、それを活用したMicrosoft Bot Frameworkが提供される話…
私がMicrosoft社員だったころ、Microsoftは圧倒的な技術力を利用して、それこそ最先端の技術を活かした製品を投入していた。PDCはその発表の場だった。今回のBuildは、その頃とはまた違う形でわくわくする技術を提供している。
何が違うのだろう。
考えたのだが、それは社風というか、物腰というか、カルチャーというか。今日、急に言われて出演したMicrosoftのChannel 9の現地実況放送でも話したが、私がいたころのMicrosoftは「肉食系」で、競合を見つけては自分たちの優位を訴え、自分たちの技術で世の中を制覇したいというのがありありと見えているような会社だった。これはこれで勢いがあり、社員としてはやりがいもあるのだが、社外の人から好かれる会社ではなかった。
今回、久しぶりにMicrosoftのConferenceに出て感じたのは、「肉食」の対比で言うならば「草食」の、IT社会を発展させるための良き市民としてのMicrosoftだった。
こう言うと、おとなしくなり、面白みも無くなった会社と思われると思われるかもしれないが、Google OBでもある私も気持よく安心して応援したくなるような良い会社になっている。2時間半にも渡る基調講演も心地よく楽しめた。
初日が終わった後に一緒に食事をした日本のMicrosoft社員は私が在籍していた当時のMicrosoftを知らない。何を話しても昔話になる。Windows Inkの話にしても、私が口を開くとWindows for Pen Computingから話したくなる。そんな昔の話でなくても、Tablet PCというのが2000年中頃にはあったんだけどとか言いそうになる。Cognitive Servicesということで発表されたDigital Assistantの話にしても、覚えていた人であっても無かったことにしたい"Bob"を思い出す。bashの搭載にしたって、私が担当していたSFU (Services for UNIX) のリベンジだ(この話は特に話させると長い)。
すべて焼き直しだとか、俺が生き証人だとか、そんなことを言いたいのではない。
純粋に嬉しい気持ちが強い。
俺たちのMicrosoftが帰ってきたと。
90年代から2000年前半にかけて、憎らしいくらいに強かったMicrosoftが紳士になって帰ってきた。
ともすれば閉塞感漂うこのIT業界において、紳士になったMicrosoftがどのように我々を驚かせてくれるかは素直に期待したい。
Quiet Riot、静かなる暴動。Microsoftがダウンサイジングやエンドユーザーコンピューティングというのを追い風に主役に踊り出た時代とは違うが、複雑に絡みあうIT業界において、大人になった紳士なMicrosoftがどのように静かに暴動ならぬ革命を起こしてくれるかはとても楽しみだ。
そういえば、Quiet Riotの"Cum On Feel the Noize"もSladeのカバーだ。良いコンセプトのものは何度繰り返しても良い。成功するまでしつこくやるのがMicrosoftのDNAと言われている。
あと7時間ちょっとでBuildの2日目。今度はどんな発表があるだろう。
オライリー・ジャパン20周年記念
パーティ嫌いの私だが、今夜のパーティはとても良かった。技術系出版社として有名なオライリー・ジャパンの20周年記念パーティ。
いろんな人に会えた。元同僚や先輩、久しぶりの知人。私と同じように会社を辞めて新たな挑戦をした人や逆にもうすぐ退職するという人。お互い名前は知っていても、実は初対面という人などなど。
思えばオライリーとの付き合いは本当に20年ほど前からだ。
まだ社員が数人だったころだろう。どこかで私の名前を聞いたのか、確かメールでコンタクトがあった。オライリーと言えば、UNIX関係の書籍で有名だったが、Windows関係の書籍も出始めており、その1冊の監修をして欲しいというものだった。
TCP/IPによるPCネットワーク管理 (A nutshell handbook)
- 作者: クレイグハント,Craig Hunt,アウル出版企画
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 1997/04
- メディア: 単行本
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私はと言えば、ちょうどWindows関係の雑誌に寄稿したり、バカ売れしたWindows本を書いたりした時期だった。このオライリーの本への貢献は大したことはない。少し追記をさせていただいたほどか。
次に担当した書籍はWindows NT/2000のセキュリティの本だ。
実は、この本を担当したことは今まで誰にも明かしていなかった。もう時効だろうし、今夜はめでたいから言ってしまうが、この本は監訳を担当した。監訳者「吉井孝彦」というのは私のことだ。
WindowsNT/2000 Server インターネットセキュリティ
- 作者: ステファンノーバーグ,吉井孝彦,Stefan Norberg,木田直子
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 2001/06
- メディア: 単行本
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大した理由は無かったように思うが、本名を使いたくなく、このペンネームを用いた。編集者から吉井和哉に似ていると言われたのをそのまま鵜呑みにして付けた名前だ。下の孝彦がどこから来たのか忘れた。
この本は当時セキュリティ的に脆弱と言われていたWindowsサーバーもきちんとした設定を施し、いろいろなツールを用いれば十分セキュアなシステムになるというのを実証したものだった。
使われているツールのいくつかは(当時はまだ良くあったのだが)日本語が扱えないものがあった。そこで、修正パッチを作成し、作者にコンタクトし対応してもらったりした。まだ、GitHubも無いし、オープンソースがそんなに一般的で無かったころだ。そのツールも単にPDS(Public Domain Software)と呼ばれていたように思う。
ちなみに、この本の監訳の仕事はめちゃ速かった。原書がとても素晴らしいものだったこともあるし、訳者の方(結局一度もお会いしなかった)の仕事も素晴らしかった。自分が書いたものではないが、今でも自分が関わった思い入れのある本と言ったら、この本をあげるだろう。
その頃からセキュリティ関係の仕事も開始し、コミュニティ*1とも付き合うようになった。それもあって、IPsecの本にも協力した。どんな協力だったか忘れてしまったが、名前はどっかに入っているんじゃないかと思う。
この頃、他にも何か手伝ったような気がするのだが、ちょっと思い出せない。基本、Windowsの関係だったので、ずっと亜流だった。
私が直接お手伝いしたわけではないのだが、「Windows NTファイルシステム詳説」は、私がかなり煽って、翻訳版を出してもらった。恐らくまったく売れなかっただろう。「売れる売れないじゃないですよね。オライリーがどれだけWindowsにコミットしているかが今問われているんですよ!」とか言って説得したように記憶している。いや、本当に反省しています…
Windows NT ファイルシステム詳説―A Developer’s Guide
- 作者: ラジーブナガール,Rajeev Nagar,奥田司郎,日本ルーセントテクノロジー
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 1999/01
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書籍以外に、1998年にオライリーが開催した最初のPerl Conferenceのスピーカー選定でもお手伝いした。ここも主にWindows版のPerlに関して担当できる人で何名か紹介したと思う。そういえば、Windows版Perlの商用版で有名だったActivePerlを出していたActiveStateの連中もここに来ていたはずだ。カメレオンかなんかのマスコットがあったような、いや、それはTCP/IPスタックを出していたCameleonそのものか。
そういえば、版を重ねるごとに分厚さを増す本がオライリーには多かったのだが、国際化の技術書として有名な"CJKV Information Processing"もその1つだ。この本の著者のKen Lundeと親しくなったこともあり、この本の最新版も是非翻訳をと、前に「Windows NTファイルシステム詳説」で反省したことなど忘れて頼んだのだが、さすがに出版不況になっていたこともあり実現しなかった*2。いやー、本当に良かった。
- 作者: Ken Lunde
- 出版社/メーカー: Oreilly & Associates Inc
- 発売日: 2008/12/30
- メディア: ペーパーバック
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仕事でブラウザを担当するようになったときに依頼してもらえたのが、「続・ハイパフォーマンスWebサイト」だ。当時GoogleにいたSteve Soundersが書いたWebのパフォーマンス・チューニングテクニックを書いたこの本に日本語版付録を書かせてもらった。当時まだあまり馴染みのなかったWebSocketを解説したり、HTML5系の技術を使うことによるパフォーマンス改善テクニックを書いた。また、編集部からの提案で、Steve Soundersにインタビューした内容も含めた。彼と直接やりとりしたが、とても楽しかった。それもこのような機会を与えて貰えたからだと、とても感謝している。
続・ハイパフォーマンスWebサイト ―ウェブ高速化のベストプラクティス
- 作者: Steve Souders,武舎広幸,福地太郎,武舎るみ
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2010/04/10
- メディア: 大型本
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その後、しばらくは書籍のお手伝いをすることもなくなり、イベントなどでブースを出しているときに顔を出す程度になっていた。それに合わせるように、前は数ヶ月には1回は飲んでいた社員の人たちともあまり会わなくなってしまった。
そんなとき、 久しぶりに依頼があったのが、Googleのシカゴエンジニアリングオフィスを立ち上げた2名のエンジニアが書いた"Team Geek"の日本語版まえがきだった。
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
- 作者: Brian W. Fitzpatrick,Ben Collins-Sussman,及川卓也,角征典
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2013/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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個人が集まった集団としてのチームで行うことになる開発を解説したこの本に対しては、同じ会社に勤めていたこともあって、正直付け加えることはほとんど無かった。そこで、書かれていることのエッセンスを紹介できるように、私の経験したプロジェクトの例を出した。我ながら良いまえがきだと思う。
今日のパーティでは、この本の編集者と翻訳者の角さんとお会いすることができた。編集の方とは実際に会うのは10年ぶりくらいか。依頼も原稿の渡しもすべてオンラインで行ったので、この書籍のまえがきの件では結局一度も会っていない。
彼女に久しぶりにお会いして言われたのが、もちろん私の転職のこと。
「おめでとうございます。Qiitaですよね」
「ええ、ありがとうございます」
そして、同じく技術者向けコンテンツを提供している者同士で盛り上がった後に、技術者コミュニティを支えることについての話に移った。オンラインでのコミュニケーションが難しいという話で、このTeam Geekで紹介されているHRTが出た。
HRTとは、謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)のことだ。チーム開発において、このHRTを意識することで、結局は人と人との繋がりに依存することの多いチーム開発のさまざまな問題点が解決する。
実は、このHRTは私が転職したIncrementsがチーム文化として大切にしていることの1つだ。QiitaやKobitoを作る開発チームの文化 - Qiita Blog はそのことを紹介した社長の海野さんのブログ記事だ。
このブログ記事を編集者の彼女も読んでいた。
"Team Geek"の日本語版まえがきを依頼された私が、このように"Team Geek"の精神を尊重してくれている会社に転職したというのを知ったとき、その驚きと感激はひとしおだったらしい。
私も転職を検討し始めたときに、このブログ記事を見つけてびっくりした。
もしかしたら、今回の転職は"Team Geek"が結びつけたものなのかもしれない。
パーティ会場には翻訳者の角さんもいらしていた。前から名前は存じ上げていたが、お会いしたのは初めて。さっそく、"Team Geek"の次についての話で盛り上がった。
パーティの終了時間が来ても、出席者はなかなか帰らなかった。私も自分の関係したオライリーの書籍の写真たちを見ながら、自分の技術者としての人生はオライリーの歩みと重なっているなと少し感傷に浸っていた。
ちょうど同じタイミングにまた次のマイルストーンへ足を踏み出す。
最後の挨拶で私の友人でもあるオライリーの渡里さんが言った。「オライリーはエンジニアのコンパニオンでありたい」。
20周年おめでとうございます。今度こそ久しぶりに飲みましょう。
そろそろITで何かをしている企業のことをIT企業と呼ぶのはやめたほうが良いのではないだろうか
タイトルの通りだ。
テレビなどでIT企業と紹介されているので、調べてみたら、単にネットを使って小売業を営んでいる企業だったり、不動産サービスを提供している企業だったということが良くある。
まともな経済誌だったりすると、さすがにそういう企業をネット企業とかIT企業とかのような、ふわっとした紹介の仕方をすることは少ないように思うが、ゴシッピーなワイドショーや週刊誌などでは、そのように紹介されることもままある。嘲笑や悪意を込めた形になっていることも多い。
だが、本来はそのような企業は小売業者だったり、不動産業者であり、たまたまその手段としてITやネットを使っているにすぎない。
例えば、じゃらんや楽天トラベル、一休をIT企業と認識している人がどれくらいいるかわからないが、彼らは旅行代理店だ。従来型と異なるので、旅行代理店と言うことに抵抗がある人もいるかもしれないが、旅行に関わる情報を提供し、予約を代理で行っていることに変わりない。
この旅行予約サービスであるが、次の資料にあるように、オンラインでの販売比率はすでに33%になっており、遅かれ早かれ5割を越えることだろう。既存の従来型旅行代理店もオンラインでの取次サービスを行っており、中には5割を越えるところも出てくることが予想される。
すでにITをまったく使わないという企業は無いと思われるが、IT/オンライン専業でない他の多くの会社が取引のほとんどがITで行うことになったとき、日本ではあっちもこっちもIT企業ということになってしまう。
IT企業という言葉に包んで、違う業種のように思ってしまうのは競争の本質を見失う恐れもある。思考停止に陥らないためにも、ITを使っているか、ネット経由かなどはあくまでも付加情報とし、その企業が何を行っているかを常に理解することが必要だ。
証券会社や銀行のように、オンライン専業の企業であってもIT企業とは呼ばない業界もある。このほうが健全だろう。従来型の証券会社や銀行はオンライン専業に対しての対策をとる。
就活生の業界別人気ランキングなどを見ると、IT業界と言われる企業のほとんどは製造業であったり、SIerだったりするので、ここで言うIT企業とは別だが、Webサービス業などに分類されたりする企業の中などには本来は別業種に分類されたほうが良いのではないかと思われるものも多い。情報サービスとざっくりとまとめられている企業でも、その実態はしっかりと把握し、いわゆるIT企業ではないと考えたほうがその企業をきちんと理解することに繋がるだろう。
そして、そのように実態を理解することが、従来型の企業のITやネットの利用をより促進することにも繋がるのではないかと考える。
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