Alternative Olympics medal table 〜もしオリンピック参加国が同じ条件で戦ったら〜
リオオリンピック真っ最中で、ネット各社も趣向を凝らしたサービスを展開している。NHKのスマホアプリを使ってネット配信で試合が見れるのは大変重宝している。Googleのサービスも素晴らしく、特にアプリを入れることなく興味ある情報が手に入る。Googleに勤務していた北京オリンピックの時に、担当だったGoogleニュースを中心にオリンピック対応をしたのだが、その時と比べて出来ることが大きく増えたのには感慨を覚える。
Google Japan Blog: Google でオリンピックを楽しもう
そのGoogleが今回提供しているのが、Alternative Olympics medal tableだ。これは各国の順位を公式ランキング以外に、人口、GDP、オリンピックへの熱狂度(Olympic Love)、スポーツファン数、食を通じた健康(Healthy Eating)のそれぞれでランク付けしたものだ。
米国や中国が強いのは、単に人口が多いからでは? と感じたことはあるだろう。その場合は、このAlternative Olympics medal tableで人口でソートすると良い。バーレーンがトップとなることがわかる。
人口でランク付けとは、すべての国が同じ人口だとしたらという仮定で重み付けしたものだ。同じく、GDPでソートすると経済規模の差異を平準化したランクが得られる。
今度はフィジーがトップになる。
国を選択すると、国ごとの各指標での順位がわかる。
オリンピックへの熱狂度(Olympic Love)、スポーツファン数、食を通じた健康(Healthy Eating)の3つはGoogle検索におけるトレンドだ。具体的な検索ワードは明らかにされていない*1が、どれだけその国でオリンピックが興味を持たれているか、スポーツへの興味がどれだけあるか、食の健康への興味がどれだけあるかを重みにしたランクが分かる。
選挙やスポーツイベントなどのたびにさまざまなデータ表現もされるようになってきており、データジャーナリズムの時代を感じることが増えているが、今回のGoogleの試みもとても面白い。
Googleによる背景説明はBuilding an Alternative Olympic Medal Table — Google News Lab — Mediumにある。英語だが、興味ある方はどうぞ。
*1:
https://raw.githubusercontent.com/googletrends/data/master/altmedaltable2016にデータセットが公開されていることになっているが、404になってしまう。
WindowsのコマンドプロンプトとWindows Subsystem for Linux
Qiitaの投稿記事を眺めていると、たまに、おやっと思うような投稿記事が注目を集めていることに気づく。WindowsのBATファイルやコマンドプロンプト関連の投稿記事もそんな1つだ。
Windows向けの開発をしている場合はもとより、Windowsを開発プラットフォームにしているならば、いくらWindowsはGUI操作が中心とは言っても、コマンドでの操作が必要となることも多い。
UNIX/Linuxユーザーからすれば、Windowsのコマンドは力不足と思うだろう。実際そうではあるのだが、恐らく想像よりはかなりマシだ。パイプもリダイレクトもあるし、forコマンドなどは結構いろんなことができる。
昔、Windowsをメインプラットフォームにしていた頃は、客先などで標準機能しか使えないところに出向く可能性などもあったので、コマンドプロンプト操作を普段から多用していた*1。同僚などは、私がGUIをほとんど使わずにコマンドプロンプトだけで操作しているのを見て驚いたほどだ。
最近も熊本地震への支援のため、Windows上で簡単な処理を行うツールを用意する必要に迫られたことがあった。最初はバッチファイルでどうにかならないかを考えたのだが、ファイルの選択をドラッグアンドドロップで行わなければならないため、C#で開発することに最終的にはなったのだが、その際に久しぶりにコマンドプロンプトを触った。
さすがに久しぶり過ぎて、少し苦労してしまったのだが、その際参考にさせて貰ったのが私の古くからの友人である山近さんが書かれた「Windowsコマンドプロンプトポケットリファレンス」だ。そう言えば、昔はこういう記事がWindows関連の雑誌 *2 などでも人気記事だったなと思い出しながら参考にさせて貰った。
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Microsoftはコマンドライン系の充実には長年努力しているにも関わらず、なかなか報われない。古くはWindows 98から提供された*3WSHがある。WSHはWMI (Windows Management Instrumentation) と組み合わせることでかなりのことができた。
それでも、UNIXのシェルの充実にはかなわないと、SFU (Services for UNIX) という製品で提供したUNIXサブシステムでUNIXシェルそのものをサポートしたりもしたが、Windows ServerにSUA (Subsystem for UNIX-Based Application) として搭載されるようになった後、しばらくしたら無くなってしまった。
Windows上でのシェル環境としてはPowerShellがその後主役となった。これもまたかなり強力なツールであり、Windowsのシステム管理であれば、これで十分まかなえるのであるが、逆に機能が抱負過ぎ、また他プラットフォーム上でのシェルと互換が無いため、開発者に愛用されているとは言いがたい。あくまでも私見だが。
そんな中、今回、Windows 10 Anniversary UpdateでWindows Subsystem for Linux が提供されてた。
今年春にサンフランシスコで開催されたBuildでMicrosoft社員に聞いてみたのだが、SFUのUNIXサブシステムはWindowsのシステム管理にUNIXシェルのツールなどを流用するための手段として考えられたのだが、それに無理があったらしい。つまり、UNIX/Linuxはシステム管理がテキスト(ファイル)ベースであるため、UNIXシェルとの相性が良い。一方、Windowsはレジストリなどに収容されたデータを専用ツールでアクセスするというシステムとなっている。そのため、単にUNIXシェルを使えるようにしても意味はなく、その反省がPowerShellに繋がったと話していた。
Windows 10 Anniversary Updateで提供されるUbuntu環境とBashは目的が全く異なる。MacOSやLinuxに流れてしまった(主に)Web開発者を取り戻すために、Linux環境そのものをWindows上に用意した。そのため、SFUのUNIXサブシステムで実現されていたプログラムレベルのWindowsとの相互運用は実現されていない*4。まだベータ版ということで、日本語の扱いなど微妙のようだが、今後の発展は楽しみだ。
それにしても、Windows Subsystem for Linuxという名前、逆じゃないのかと思ったが、目的を考えると、なるほどと思えてくる。
Oracleと私
昨夜はOracle Cloud Developer Meetupに参加し、Qiitaの宣伝をさせて頂いた。
oracleclouddevelopers.doorkeeper.jp
普段のイベントとはやや異なる参加者がいらっしゃるイベントで、いろいろと学ばせていただいた。
しかし、何よりも感慨深かったのが、Oracleのイベントに私が出ているということ。
新卒で入った最初の会社であるDEC (Digital Equipment Corporation) は、経営状況が悪化した末期、事業をさまざまな会社に切り売りした。その1つがDEC Rdbだった。事もあろうか最大のライバルであったOracleに売却したときにはかなりの衝撃が走った。もっとも、その後、プロセッサ事業もIntelに売却するなど、似たことが起きて、競合に事業売却することはごく当たり前であることに気付いた。
転職したMicrosoftでは、SQL Serverの競合として常にOracleがいた。サーバーで競合していたSun Microsystemsも今ではOracleだ。
Googleでは事業領域も違うので、良くも悪くもOracleと関わることは無いと思っていたら、Javaのライセンスをめぐって裁判までする状況になってしまって、こりゃ、よほど私と相性の悪い会社だと思っていた。
感慨深い。
登壇までの1時間はOracleのAPEXのハンズオンだった。暇だったので、自分も参加してみたが、BaaS + PaaSのような形で簡単にアプリが作れる。データベースの会社だけあって、データ中心のアプリ(なんだかんだ言って、そのようなアプリはかなり多い)をさまざまなビューで見せるようなものには向いているだろう。まだ触ったこと無いので勝手な推測だが、kintoneと似たものを感じた。
今回のような機会が無かったら、APEXを触ることも無かったろう。関係者に感謝したい。
My Newspicks 2016/07/18 - 2016/07/24
先週(2016/07/18 - 2016/07/24)のNewspicks。
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アマゾン化する世界
先週で終了した連載「アマゾン化する世界」は面白かった。前半である先々週の記事は日本ではあまり知られていないAmazonの姿を紹介していたが、後半はコンテンツを軸にした記事が多かった。
NetflixにしてもHuluにしても映像制作に進出しているが、Amazonがカンヌ映画祭レベルのものまで作っているのは知らなかった。
コンテンツホルダーにとって、ユーザーにリーチし、広く収益をあげるためには無視できないネット事業者との付き合い方は、Webが普及してから常に難しい舵取りが求められる。Googleブックスという、今から考えるとAmazon Kindle Unlimitedに比べるとまだ穏やかな取り組みであってもあれだけ揉めた(あちらは著作権に対しての考えの違いが中心だったが)のだが、Kindle Unlimitedの方がもっとエグい。別に勝手にコンテンツを持ってきているわけでもないし、嫌なら参加しなくて良いと言いながら、参加しても地獄、参加しなくても地獄の状況を作る。
Amazonの実験都市となったシアトルにしばらく滞在してみたいと思わせる記事。シアトルのあちこちで新しいAmazonのオフィスの工事がされているという。一時のレドモンド(Microsoft本社のあるシアトル郊外の街)やカリフォルニア州のマウンテンビュー(Google本社のある街)のようだ。
Google関連記事
GoogleのVRであるDaydreamが頓挫したのではないかという記事。Google I/Oでも実態がほとんど無かったので心配していた。ただ、VRを止めたのではないとのこと。
マウンテンビューのGoogleオフィスとLinkedInオフィスをスワップするという話。LinkedInのオフィスビルも大きく立派なのだが、Googleに周りを囲まれるのは必ずしも快適なものでは無かったろう。確かに、Win-Win。
自動車関連記事
ミラーレス車のことをあまり知らなかった。調べてみたが、必ずしも利便性が上がるわけでもないように思う。コックピットのデザイン次第か。
このデザインは好き嫌い分かれそう。限られた施設内などでは良いと思うが、一般道を走るのは大丈夫か。この車両デザインだと、立ったままの客もいるだろう。
次代の教養プログラミング
新しく始まった連載「次代の教養プログラミング」が楽しみ。
私のスタンスは、プログラミング教育は賛成だが、今の日本の教育システムでは心配なことが多いため、民間を積極的に活用するほうが良いのではないかというもの。
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My Newspicks 2016/07/11 - 2016/07/17
先週(2016/07/11 - 2016/07/17)のNewspicks。
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Google関連
Googleの検索結果から削除される権利=忘れられる権利が認められなかったという判決のニュース。きちんとした法的根拠(個人情報保護法違反など)で検索結果から削除を求めるのはわかるが、インターネット上には存在しているのに、Googleの検索結果からだけ削除しろというのはわからない。元のインターネット上の情報さえ消されれば、Googleの検索結果からも消える。その意味で、根拠の曖昧な「忘れられる権利」というのはそもそも無理があったのではないか。最近、EUとGoogleを始めとする米国ハイテク企業の争いがまた激しくなっているが、この「忘れられる権利」も欧州から始まっている。
その欧州とGoogleとの法的争い。欧州の人はGoogleやGoogleのサービスのことをどう思っているのだろう。欧州委員会が言うように、アンフェアと思うのだったら、使わなければ良いのではと思うのだが、もはや必要不可欠のものになってしまっているので、本当は使いたくないのに、いやいや使っているのだろうか。単に欧州 vs. 米国企業と見る前に、実際のユーザーがどのように思っているか知りたい。
特集「アマゾン化する世界」
先週はこの特集が秀逸だった。日本では今まであまり全貌が明らかにされてこなかったAmazonが様々な角度から分析される。Amazonはメディア嫌いというイメージもあったのだが、この特集ではAmazonがかなり協力しているように思える。
Amazonの最新工場の様子や楽天との違い、DMMがどのようにAmazonと対峙しているかなど、どの記事も興味深い。今週も楽しみ。
自動運転車関連
先週も自動運転車のニュースが多かったが、この記事では、GoogleとTesla、そして少しだけだがトヨタ、それぞれの自動運転車へのアプローチの違いが見て取れて、面白い。私はTeslaファンだが、人の命を預かるものなので、慎重に進めていかないと、下手すると、事業を継続できないのではないかと思わせるほど、Teslaには逆風が吹いている。
これなどがその例。マーケティングメッセージとして、Teslaは自動を強調しすぎた。現実はあくまでもアシスタンスなのだから、ハンドルから手を離したら、警告を出すなど、ドライバーの自己責任論にせず、もっとメーカー側での安全対策をするべきではあろう。
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