一般企業も真似したいギークの7つの仕掛け

開発者やデザイナーが集まるイベントや彼らが所属する企業/組織などで良く行われている仕掛けの中で、そういったギークだけに閉じていてはもったいないと思うものがいくつかある。ここで言う「仕掛け」とは、オープンで活発な議論やユニークなアイデアを引き出すためのイベントの進め方や時間の使い方などだ。

ここではそのうち7つを紹介してみたい。

ライトニングトーク

5分程度のある限られた短い時間で行うプレゼンテーションのこと。時間が来たら強制的に終了させられる。これはもう一般にもかなり定着したと考えて良いだろう。
時間を制限することで、本当に伝えたいことだけにそぎ落とされた説明ができるし、多くの人に話してもらうことが可能となる。

Wikipedia ライトニングトーク

イグナイト

ライトニングトークの発展形。限られた時間でプレゼンテーションを行うのは同じだが、1枚スライドあたりに費やす時間も制限されている。20枚のスライドを1枚あたり20秒で進めるのが多い。スライドは自動的に時間が来ると進められていくので、ライトニングトークで起こりがちだった時間が来てもスライドが終わっていないために尻切れトンボになってしまうという事態が避けられる。

ぺちゃくちゃ が最初と言われている。

DEMO

これは技術系の企業や団体でしか使えない使えない仕掛けかもしれない。与えられた5分程度の時間でデモをする。パワーポイントのスライドも企業やプロジェクトのかっこ良い紹介もなしに、ひたすら自分たちの技術がいかに世界を変える可能性を秘めているかをデモする。

About DEMO - The DEMO Experience

アンカンファレンス

通常のカンファレンスやセミナーと異なり、セッションのテーマやトピックを参加者自身が決める形式のイベント。イベント企画/運営者が事前に決めた通常の形式のカンファレンスと組み合わせて開催されることも多い(午前は通常の形式にし、午後をアンカンファレンスにするなど)。
参加者自らが発案することで希望するテーマを話しあうことができるし、従来の比較的受け身になりがちなセッションと異なり、全員参加型の議論が可能となる。

@IT エンジニアにおすすめ、米国版「勉強会」Oracle OpenWorldの「裏メニュー」アンカンファレンスとは

オフィスアワー

いつでも質問に来れるように、講演者や上級職にある社員などがあらかじめ決められた場所に一定時間待機していること。カンファレンスなどで質問を受け付ける際、セッションの後などだけでは時間が充分取れないときなどにオフィスアワーを用意しておき対処することがある。また、企業や組織でも、ある個人やグループが毎週決まった時間をオフィスアワーとして質問に答えるために待機したりする。人気がある場合には、待機している場所の前にホワイトボードなどが置かれ、そこに順番を記述して待つ場合もある。
もともとは大学で学生のために設けられた仕組み。忙しい教授が必ずその時間には研究室にいることが約束されている。

オフィスアワーとは - コトバンク

スタンドアップミーティング

毎日定例のミーティングを行う組織は多いだろう。だが、多くの定例ミーティングは形骸化しており意味がない。無駄に時間ばかりを浪費する。
スタンドアップミーティングはその名の通り、立ったまま行うミーティングである。立ったままなので無駄な時間を省き、必要なことを議論するために集中できる。アジャイル開発と言われる開発手法で奨励されているミーティング方法。昨日の進捗、今日の予定、作業を妨げる可能性のある障害について制限された時間内(1分から数分程度)で発表する。

朝会のパターン:立ってるだけじゃないよ

ノーミーティングディ

基本的にミーティングは必要悪だ。特に定例のミーティングは無ければ無いにこしたことはない。定例のミーティングがあるからと議論を1週間先延ばしにしたりしては本末転倒だ。また、いざ集まろうと思っても、ミーティングに招集したい人のスケジュールがすでにほかのミーティングで埋まってしまっていて、時間が午後6時以降しかとれないということもあるだろう。あぁ、なんという社畜。
そもそも人はミーティングのために会社に来ているのではない。ミーティングをしているだけで仕事をしてしまっていると勘違いしている人がたまに、いや、良くいるが、ミーティングで決まったことを実行するのが仕事である。ミーティングなどは人から時間を奪う必要悪だ。
ノーミーティングディは意識的にミーティングをしないように強制する仕組みだ。あらかじめX月Y日はミーティングをしない、設定しないでくれ、招待しないでくれと周りに了解を求めておく。個人よりも所属している組織やプロジェクトチーム単位でやると良い。その日は本来の業務に集中できるはずだ。ソフトウェアエンジニアの場合だと、集中してコードを書くことができる。
1日だけでなく、週単位など長めに設定することもある*1

仕事の足を引っ張る会議、業績が上がる会議 : プレジデント

以上7つほど紹介した。すでに一般的なものや やや特定の職種向けのものもあるが、いずれも参考にはなると思う。

気づかれたかもしれないが、どれも時間に関係するものだ。有限な時間だからこそ、工夫することで同じ時間を費やすのでも、そこから生み出されるものは大きく変わる。
また、多くのものがなんらかの制約を課すものであることもわかる。制約条件があることで、その中で工夫し、結果、新しい価値が生み出される。

いずれも始めた当初はそれが定着するか、支持を集められるかわからなかっただろう。だが、始めてみることで、利点も欠点もわかる。まずは、これは技術系の連中がやることだと思わず、試してみてはどうかと思う。

これは一般企業に勤める友人に紹介するために整理したものだが、これ以外にも同じような「仕掛け」があると思う。教えて欲しい。

*1:理解のある組織の場合のみ可能かもしれない