国産検索エンジンが欲しい人いる?

gooが独自エンジンではなく、グーグルのエンジンをバックエンドに使うことにすると聞いたときは大いに落胆したものだ。国産検索エンジンを応援する気持ちもあったし、何よりgooの独自エンジンが好きだった。そのころすでに、最初に使う検索エンジンはグーグルやMSNになっていたが、それでもある種の検索を行うときには、gooを使っていた。

それからわずか2年ちょっと。gooを運営するNTTレゾナントの親会社であるNTTを含む国内数社が国内独自検索エンジンの開発に乗り出すらしい。Yahoo!ニュース「<検索エンジン>日本の30社・機関が独自開発へ」から。

日立製作所や富士通、NTTなど電機、情報通信大手と東京大など国内の約30社・機関が共同で、日本独自のインターネット情報の検索エンジンの開発に乗り出す。

開発の背景には、インターネットの基幹技術ともいえる存在となった検索エンジンが外資の独壇場になっていることの危機感があったようだ。

検索エンジンは、インターネット上から必要な情報を探し出す検索サイトに使われている中核技術で、ネット情報の利用に不可欠。しかし、米国企業のグーグル、ヤフー、マイクロソフトの3者が市場をほぼ独占し、技術も公開していないため、ネット社会での情報の恣意(しい)的な管理や、日本企業の事業機会が失われることが懸念されていた。

フランスも独自検索エンジンの開発を進めているというし、1社の恣意的な管理・運営は言論統制にもつながりかねないと、国策として判断されたのだろう。それは理解できる。だが、これは税金の正しい使い道なのだろうか。

グーグルが恣意的な管理・運営をした場合、それの与える影響は確かに大きい。しかし、どこの検索エンジンであっても、アルゴリズムを変更した場合、市場に影響を与えざるを得ない。それは今回発足した産学協同により開発されるという検索エンジンの場合も同じだ。新しい検索エンジンには新しい検索エンジンのある種の意図が働くことだろう。グーグルのページランクそのものはインターネットの民主制をベースにしたものであり、それ自身はできるだけ人間による意図が入り込まないようにできている。新しい国産検索エンジンはどのような仕組をとり、中立性を保つのだろうか。本当に独自に作ることしか選択肢はなかったのだろうか。

検索エンジンの分野はまだ多くの技術革新の余地が残されていると思うが、少なくとも半馬身くらいはすでに先頭集団から離されてしまっているだろう。もはやブルーオーシャンではない。異なるアプローチの検索エンジンならばその独自性が発揮できると思うが、どのような差別化を図るつもりだろう。

「国産ほげほげ」というのにすべて反対するわけではないのだが、数社による共同開発というのは、きわめて個人的な感覚の問題だが、なぜか好きになれない。なんで1社でやらないの? 国策というのが好きじゃないのかもしれない。

それより、こんなことならgooは独自検索エンジンを死守すべきだったのでは?