ソーシャルアプリケーションのオプトイン

MobsterWorldのTwitter上での宣伝に見るOAuthの課題」で書いたように、TwitterにOAuthでアクセスするアプリケーションはユーザーにその許可を求める。つまり、オプトイン形式になっている。

ソーシャルウェブはソーシャルグラフを抱えるSNSサイトとそれに機能を付加するソーシャルアプリケーションとにより実現されることになる。その意味で、SNSはすでにプラットフォームとなっているわけだが、プラットフォームとして必要なのは、柔軟で拡張性の高いインターフェイスと利用者の安全を確保するためのアプリケーション側への制約という2つの矛盾する要素になる。

後者については、結局、SNSサイト側のポリシーに委ねることになるのだが、利用者として認識して置かなければならないのは、ソーシャルアプリケーションに自分のSNSにアクセスを許可するということは、SNSではなく、アプリケーションに自分のデータやそのアプリケーションで行った結果に生成されるすべてのデータを預けることになるということだ。

このように改めてソーシャルアプリケーションの出来ることを考えてみると、利用者にその意味をきちんと理解してもらうことがいかに重要かわかるだろう。そのためには、ソーシャルウェブに対しての利用者のリテラシー向上が必要になるというのは前回書いた通りである。たとえば、さすがにWindowsの上にアプリケーションをインストールするときに、身元不明の怪しいアプリケーションはインストールしないだろう。もしくはそういうことがわからないような人に対しても、OSやブラウザやアンチウィルスソフトウェアなどが多重に危険なアプリケーションのインストールや利用を防ぐようになっている。

ソーシャルアプリケーションに関してはまだ黎明期ということもあり、利用者のリテラシーは高くなく、さらにはプラットフォーム側の危険を低減させるための仕組みもまだ完全ではない。

現状を確認してみよう。

TwitterFacebookの両方に対応したSocialTooというアプリケーションがある。

TwitterはOAuthで、FacebookにはFacebook Connectでアクセスするが、その2つのオプトイン画面が下の2つだ。

どちらも似たようなものなのだが、Twitterのほうは中途半端な日本語化。拒否するだけを日本語にしているのは何か意図があるのか? 「既定では、拒否ですよ」ということを言いたいのだろうか? 激しく疑問だ。

Facebook Connectは日本語の画面があるのだが、どうやったらそれがアプリケーションのオプトインのときに表示されるのか何度やってもわからなかった。もちろん、私のFacebook側のUI言語は日本語にしてある*1

わかりやすさという点では、Facebookに軍配が上がるだろう。文字だけでなく、図を使った解説をしている。また、Facebookおよびアプリケーションの利用規約へのリンクが張られているのも評価できる。

プラットフォーム化を進めるには、地味で単純であるが、このようなオプトイン画面の改善というのも重要なステップである。また、WindowsがWindowsロゴという認定プログラムで行っているように、プラットフォーム側でアプリケーションのガイドラインを規定し、それを遵守したアプリケーションに対して認定をするというのも1つの手段ではある。

あまりにも窮屈にしてしまっては、イノベーションを阻害することになりかねない。微妙な舵取りが求められるが、ソーシャルウェブにも従来のプラットフォームベンダーが実現してきたことを参考にし、適切な機能を実装することが求められているのだろう。

*1:普段はしていないのだが、この実験のためにそうしてみた