GDP世界3位の弊害

NECとレノボがパソコン事業で提携。

前職のときから思っていたのだが、日本にはパソコンベンダーが多すぎる。国内年間販売総数1,500万台の市場にいったい何社あるのかと。NEC、富士通、東芝、ソニー、パナソニック*1。現在では5社だけだが以前はこれにシャープと日立も加わっていた*2。日立は2007年にシャープは2009年に開発を停止している。

景気が右肩上がりであったときにはそれでも良かった。

市場の成長が見込まれるときにはそれでも良かった。

だが、今は違う。国内景気はフラットだし、少子高齢化に伴いむしろ国内市場は縮小することが考えられる。世界的に見てもパソコンはもはやコモディティであり価格以外に差別化の難しい製品となっている。

もちろん、サービスを提供するに際してユーザーが利用するメインのデバイスとなるパソコンを自社ブランドで押さえておくことは重要だし、自社のパーツの利用先として戦略的な位置づけであることもあるだろう。だが、それでもこんなに多くのベンダーは必要ない。

同じことは携帯電話にも言える。ガラパゴスと言われ世界標準と異なる端末で国内で勝負していたベンダーの国際競争力は無く、いまや日本企業が束になってかかってもサムソンに敵わない。だが、携帯電話はいち早くその状況に気づき、合弁や提携が進んでいる。成果はまだあまり見えないが、携帯事業に関しては各社とも戦略の転換を図っていた。やっとパソコンにもその流れが来たかという感じだ。

シャープが2009年に生産を停止していたにも関わらず昨年になってパソコンからの撤退を発表した際にはいろいろな憶測が流れた。提携先を探していたのではないかとも言われている。ちょうどほぼ同時期にGALAPAGOSの発表があったので、事業からの撤退というだけではなく、新しい事業に集中するという形で無事ソフトランディング出来たのではないかと見る人も多い。

GDPは中国に抜かれたとは言え、まだ世界3位だ。成長率が鈍化したが、それでも巨大市場であることには変りない。これが各社の思い切った戦略の変更を躊躇させる原因になっているのだろうか。隣の韓国を見ると、成長し続けるには、事業を継続するには、外に打って出るしかない。

NECの2009年のパソコンの売上高規模は2,000億円規模であると言う。この規模の事業を整理*3するのは大変だと思うが、真綿で首を絞められるように死んでいくよりはましだろう。NECのパソコンに対してあまり思い入れがない立場から言うと、どうせなら完全にレノボのパソコンに一本化すれば良かったのにとさえ思う。と書きながら、NECのサイトを見たら、ValueStarってまだあるのね。これとかはこれはNEC側を引き継いだほうが良さそうか。いずれにしろ遅かれ早かれ製品ラインも整理することになるのだろう。

個人的には愛してやまないThinkPadがそのまま存続してくれて、NECのサービス網でメンテンナンスなどを提供してくれることになれば万々歳だ。

*1:ほかにももちろんあるが、大手としてはこのくらいだろう。

*2:もっと昔の話をすれば、三菱や沖電気も参入していた。

*3:整理と言ってはいけないのか