旧バージョンの呼称
HTML5やCSS3に対応したブラウザのことを「モダンブラウザ」と呼ぶのだが、では果たしてIE9はモダンブラウザと呼ぶにふさわしいのかという議論がある。
Mozilla曰く、「Is IE9 a modern browser?」
それに対するマイクロソフトの反論「A Modern Browser」
Publickeyの「Internet Explorer 9がHTML5のオフライン機能やWeb Workersを実装していないことをどう受け止めるか」が良くまとまっている。マイクロソフトのインタビューをとれるかもしれないというので楽しみだ。
さて、これに関係して、以前気になっていたのが新しいバージョンがリリースされた際の旧バージョンの呼称のことだ。
新しいバージョンがリリースされたばかりの時は当たり前だがまだユーザーは以前のバージョンを利用している。エンタープライズ環境では移行に時間がかかるから、2つ前のバージョンを利用しているというケースだって珍しくない。新バージョンがリリースされてから数ヶ月から下手すると年単位でやっと新しいバージョンの導入ができるということだって珍しくない。
にも関わらず、このような旧バージョンに対する仕打ちは優しくないことがある。移行ツールの提供などの面では手厚いが、そのまま使い続けているユーザーにはさも時代遅れかのように、不安定でセキュリティ上も不安があるかのようにその旧バージョンを扱う。実際、不安定でセキュリティ上の不安があるから新しいバージョンを出しているという側面もあるので間違いではないのだが、現実的にユーザーがまだ以前のバージョンを使い続けなければいけないという事実を知らないかのようにアップグレードばかりを促す。
このようなベンダーの態度のみならず、さらに「イラッ」とさせられたのが、旧バージョンを「レガシークライアント」だとか「ダウンレベルクライアント」だとか呼ぶことだ。新バージョンがリリースされた直後から自分の使っているバージョンのことを「レガシー」だとか「ダウンレベル」と呼ばれるのは気持ちの良いものではない*1。製品のマニュアルにまで書いてあることもあるから、開発中からそのようにベンダーでは呼んでいたのだろう。つまり、その時点では「現バージョン」だ。何か呼称を付けなければいけないのはわかるが、正直気持ち良いものではない。
というようなことをモヤモヤと思っていたのだが、今は旧バージョンのことをどのように呼ぶのだろう。単純に「以前のバージョン」だとか「旧バージョン」なのだろうか。「レガシークライアント」とか「ダウンレベル」とかで検索してみても、あまり最近の記事はヒットしないので、もうこのような呼称は用いていないのだろう。
呼び方1つでそのベンダーの態度までも邪推されてしまうことがある。小さなことかもしれないが気をつけていきたい。
やっぱり時代は自動更新だね ;-)
*1:もっとも、マイクロソフトがダウンレベルクライアントと呼んでいたのはActive Directory Services非対応のクライアントのことなので、旧バージョンと単に呼ぶのではなく、別の使い分けが必要だったということで理由はきちんとある。