読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

このブログが書籍化されました

2006年4月8日。この日が私がはてなでブログを書き始めた日だ。すでに、それから6年が経っている。

当初は、単なる自分の備忘録のようなものだけを書いていたが、徐々に知ったことを共有したり、自分の意見を公開したりと、読者のことを考えて書くようになってきた。

その結果かどうかわからないが、嬉しいことに今ではこのブログも多くの人に読んでもらえているようになった。特に、何の専門家というわけでもない私の、いわば戯言のような域を出しっていないブログにも関わらず、多くの人に読んでもらえているというのは本当にありがたい。

ただ、一方で、過去の記事などはあまり参照されることが少ない。アクセスログなどを見てみると、過去記事の中には検索経由でアクセスされているものもあるにはあるのだが、多くはない。大多数の過去記事は、いわゆる死蔵されたものとなっている。

講演などで、そのような過去にこのブログで言及したことについて触れると、好意的に受け止められることが多いので、内容がないわけでもないし、古いわけでもない。

昨年からBLOGOSでいくつかの記事を配信するようになったが、これも、さらに多くの人に読んでもらえるならばと思ったのが動機だ*1。だが、BLOGOSも同じブログメディアだ。過去記事を含め、死蔵されてしまっている、その可能性のある記事を再度俎上に載せるものではない。

私のブログのデザインの問題もあるだろうし、古くても意味のあると思う記事は自分でもう一度目立つように取り上げれば良いだけなのだけれども、一方で、ブログという形態では限界もあるのではないかとも感じていた。

ちょうど同じ時期*2インプレス編集部から、このブログを書籍化したいという申し出をいただいた。

正直、すでに公開されているものを書籍化しても、意味があるのかとも思ったが、上に書いたように、ブログの形式では成し得ないものもあるのには気づき始めていた。これは良いチャンスだと思い、書籍化をお願いすることにした。

挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained. (インプレス選書)

挑まなければ、得られない Nothing ventured, nothing gained. (インプレス選書)

この書籍が、インプレスにおける苦闘の末、来週の5/18(金)に発売される。

書籍化にあたり、いくつかの工夫を凝らした。

ブログ記事の選定はインプレス編集部と私とで共同で行った。基本はプロである編集部の意見を尊重したが、これは是非多くの人に読んで欲しいと私が強く思う記事は含めてもらった。また、逆に、これは書籍化に相応しくないと思うものは落としてもらった。技術者以外も対象にしたいと言われていたので、技術的に細かい過ぎるものは落とした。

「すでに公開されているものを書籍化する」ことに対しては、形式(フォーマット)を違えることにより、読みやすくなったという差別化以上のものを与えなければいけないと思い、いくつかの書きおろしも用意した。たとえば、ソーシャルDRMも収録されているのだが、ブログ記事への反響で「XMDFはそもそもソーシャルDRMです」と教えてもらったので、今回は編集部の計らいでシャープの担当者にもお話を聞かせていただき、それを元にした記事も追加した。また、既存記事もほぼすべての形で何らかの手を入れてある。

編集部と最後まで悩んだのが、横書きにするか、縦書きにするかの選択だ。私は縦書きへの思い入れがほとんど無い人間なので、元のブログが横書きであることもあって、横書きで良いのではないかと主張したが、編集部からは縦書きがまだ一般的であり、縦書きにすることで、技術系の読者以外も手にとってもらえる可能性があると指摘され、それに従った。出来上がった見本誌が私の手元にあるのだが、確かに縦書きも悪くない。横文字が多く使われているブログなので、それらのレイアウトなどは賛否両論あるだろうと思うが、是非、読まれた方はその部分でもフィードバックをいただければと思う。

帯にロゴがあることからもわかるように、まるまる1つの章を割いているのが、Hack For Japanを中心とした震災復興活動の記事だ。このブログからのみならず、Hack For Japanのサイトからの記事も収録した。震災から1年以上が経ち、振り返る機会も少なくなっているかもしれないが、この書籍がきかっけでもう一度1年を思い起こし、さらにはこれからのことも考えてもらえると嬉しい。

電子書籍版も用意される。インプレスダイレクトではPDF形式で紙の書籍と同時発売と聞いている。以下のほか電子書籍ストアも準備が出来次第、販売が開始されるらしい。なお、電子書籍版には、紙の書籍には収録されていない記事も収録している。

  • BookGate
  • マガストア
  • honto
  • 紀伊國屋
  • ReaderStore
  • Raboo
  • BookLive!
  • ソフトバンク

電子書籍版については、もう少し中身について自分でも理解しておくべきだったと思うのだが、今回はまったく出来ていない。たとえば、DRMがどうなっているかなど、まったくわからない*3。次回もしチャンスがあれば、電子書籍版こそこだわってみたいと思う。

最後に、これは書こうかどうか迷ったが、今回の書籍は私としては、CC(Creative Commons)ライセンスの元に提供したつもりでいる。実際には別途きちんと契約書を交えているので、書籍がCCになっているわけではない*4。つまり何が言いたいかというと、BLOGOSへの配信がそうであるように、勝手に無料で記事は使ってもらって良いというスタンスでいる。実際、私は印税や原稿料に相当するものは頂いていない。その理由は、すでに公開されているものから利益を得るのに自分の中で拒否感があったのと、震災復興の話でお金を稼ぐことに激しい抵抗が自分の中にあったからだ。ほかの人にそれを強要するものでもないし、それを非難つもりもない。自分の単なる自己満足だとは思う。ただ、どうしても許せなかったのだ。

書籍を出すということが、利益目的でなく、自分のセルフブランディングであったり、それこそコンテンツを多くの人に見てもらいたいというだけの理由であることも増えてきていると思う。私としても、これを新しい実験と考えて、どのように評価されるか、このブログへの影響はあるのかなどを試してみたい。

実験と言う意味では、各記事に元のブログ記事へのURLを入れてもらっている。もし書籍を読んで、意見がある場合には、元ブログ記事のほうへのコメントも考えて欲しい。

紙メディアとオンラインメディアの融合なーんていうのには程遠いけれど、少しでも両者を結びつけるような試みが出来ればと考えていれてもらった。

興味ある方は是非お手にとってもらえれば幸いだ。

正直言うと、やはり書籍にすることを考えて書いていた文章ではないので、不安も一杯だ。誰か、早く、大丈夫だよと言って欲しい ;-)

*1:実際には、BLOGOS編集部からお誘いがあったのをお受けした。

*2:実際にはインプレス編集部からの打診のほうが先だったが。

*3:残念ながら、ソーシャルDRM、いわゆるフットプリントだけのものは無いと思う。

*4:編集部との作業分は契約で決められた権利保持がされている。