プロダクト

「最終判断は人間が行います」が嘘になるとき ― ICOが暴いた採用AIの実態

英国の情報コミッショナー事務所(ICO)が今年3月末、「Recruitment Rewired」という採用AI調査報告書を公表した*1。2025年3月から2026年1月にかけて、30社以上の主要な雇用主と採用プラットフォームから任意の協力を得る形で運用実態を聞き取った、なかなか…

北極星指標(NSM: North Star Metric)だけでは航海できない ― プロダクト倫理のためのガードレール指標

北極星だけ見ても安全な航海はできない 「営業や経営陣からの指示で行っている施策により、短期的なKPIは向上したものの、数ヶ月ですぐに効果が薄れてしまい、むしろ解約率がじわじわ上がって逆効果になっている。ただ、その施策を止めることはできない」。…

SoRの復権とSoIの時代の到来

tl;dr 「SaaS is Dead」は本質を見誤っている。死ぬのはSaaSではなく、従来型のアーキテクチャ 「古い」と思われていたSoR(Systems of Record)が、AIエージェント時代に競争優位の源泉として復権する SoRとSoEを統合する新たな層として、Systems of Intell…

チームで倫理を議論するツールを作りました ― ケーススタディカードとPRDテンプレート

先日、書籍「プロダクト倫理」と無料チェックツール(productethics.jp)を公開しました。チェックツールは、8つのテーマについてYes/Noで答えていくだけで、自分のプロダクトの倫理的リスクをレーダーチャートで可視化してくれるものです。 takoratta.haten…

11億件の応募を却下したAI ー Workday訴訟が突きつける「意図のない差別」の正体

昨日(2026年4月8日)の日経朝刊に「採用AIに差別された 誰が責任負う?」という記事が出ていた*1。米Workdayの人事AIソフトウェアをめぐる大型訴訟の話だ。 これはまさに自分が最近書籍に書いたことと同じ内容だ。 近著「プロダクト倫理」の第7章で、Amazon…

プロダクト開発に「第4の軸」を ― 書籍「プロダクト倫理」と無料チェックツールを作りました

「自分がやられたら嫌なことを、他人にしない」 子どものころ、母に言われた言葉です。おそらく多くの方が、似たようなことを親や先生から言われた経験があるのではないでしょうか。あまりにも当たり前のことで、大人になってからはほとんど思い出すこともあ…

AIネイティブ時代のプロダクト設計〜なぜ「完璧な仕様」は機能しなくなったのか

生成AIを前提にしたプロダクトでは、「完璧な仕様を書く」という従来の設計思想が通用しなくなっている。CursorなどのAIネイティブプロダクトを手がかりに、設計対象の変化と人間や組織に求められる役割の変化を整理する。

「プロダクトマネジメント 行く年、来る年 2025」で話したこと

昨日(2025/12/19)、Newbeeの「プロダクトマネジメント 行く年、来る年 2025」というイベントに登壇した。パネルディスカッション形式のイベントで、主催者から事前にお題が渡されていた。お題は以下の3つ。 2025年のプロダクトマネジメントを一言で表すと…

MVPの“あの図”が誤解を呼んでいませんかね

スケートボードから車へ──その比喩に違和感を持ったことがある人へ。MVPの本質を捉え直し、飲食業など現実の事例を通じて「価値の最小単位とは何か?」を考えます。

SaaS is Dead. Long Live SaaS ― SaaSは本当に終わるのか?進化の本質を読み解く

「SaaS is Dead」は煽りではなく進化の兆し。SaaSの価値は終わらず、AIエージェント時代に再定義されていく──その変化と本質を読み解く。

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

tl;dr 私が監修した本が出る。 私が顧問をしているクライス&カンパニーという人材紹介会社のキャリアコンサルタントが書いた本である。 クライス&カンパニーはここ数年、プロダクトマネージャーの転職支援に注力しており、日本で一番プロダクトマネージャ…

リリースとローンチ

自分は言葉に気を配るほうだと思う。 単純な質問されたときにも、内容を正確に理解するために、「その◯◯ってどういう意味?」と聞いたり、「◯◯の定義は?」と聞いたりすることも多い。 面倒臭い人間だという自覚はあるが、プロダクトを作り育てるチーム内で…

商材とは

以前一時的に支援していた会社では、プロダクトのことを「商材」と呼んでいた。微妙に違和感がありながらも放置していたのだが、少しこれについて考えてみた。 実は、決して短くない私の人生の中でも「商材」という言葉を聞くことは、この会社の支援をするま…

プロダクトと宗教の危険な関係

プロダクトは宗教である。 Emacsとvim、各種プログラミング言語などの例でもわかるように、プロダクトは宗教だ。各宗教や宗派に属するものが自らの信じるものを他者に広める。 昔話 筆者が20代を過ごしたDEC (Digital Equipment Corporation) という会社はVM…