日経新聞連載「ネットと文明 第4部 常識オセロ」

日経新聞で4/11から新しい連載が始まった。「ネットと文明 第4部 常識オセロ」。
梅田氏の「ウェブ進化論」に刺激されたのかなとも思うが、なかなかおもしろい。

第1回目では、子どもの記録をすべてデジタルデータに残そうとする最近の親の話が出てくる。ただし、デジタルデータで残すことは、その瞬間を目では捉えられないことも多く、そこに矛盾とジレンマがある。「その一瞬ならではの感動があるはず」という石浦灯台大学院教授のコメントも載っている。

ヒトは忘れ、死んでいく生き物。だからこそ何とか記録を残そうと、文字や紙を発明、防弾な書物や映像を生んだ。今ではIT(情報技術)により、誰もが情報の詰まったネットという"外付け脳"を共有できる。従来は巡り合えなかった「知」に触れ、豊かさを実感できる新しい文明への予兆もそこにある。

これはWeb 2.0で言う「集合知」だろう。ブログやソーシャルブックマークなどで自分の情報を共有し、Flckrなどでデジタル情報も公開する。このようなCGMの共有/公開により、多くの人間により共有される「集合知」という名の「外付け脳」が作られていく。

半面、知識を習得し心に刻むことが忘れられ「記録はあっても記憶がない」ことにもなりかねない。記憶し学び、考え感動する。そんなヒトの営みとどう向き合うか。

日経新聞ではこう問題提起する。記録と記憶を同時に行うことは確かに必要だ。まずは入力デバイスに革命が必要ではないだろうか。そうなると、ますます人間の脳に直結するようなインターフェイスを持った、外付け記憶装置が必要になるのかもしれない。簡単にプラグイン/アウトできる「外付け脳」。果たして、それが望むべき将来なのかは考えなければいけない。

第1回目のまとめ

・「知」の基盤の共有。ゼロに近いコストで情報交換。
・情報の加工で紡ぎ出す価値。物質文明から情報文明へ。
・知識のたらい回しにとどまれば、退廃の危機。

第2回では、パスワードからの呪縛から逃れる新技術について紹介(MSの技術はInfoCardのことを言っているのだろう)し、情報格差も技術革新により解決される可能性があることを言及。一方で、情報技術への過度の依存による弊害をカーナビを例にとり紹介。

第2回のまとめ

・世代や地域に情報格差が発生。いったんは経済格差の影
・技術革新の加速で差を平準化。豊かさ生まれ文明の芽
・技術を使いこなせず、依存が続けば文明にはほど遠く

2つ目は、梅田氏の言う、インターネットによる「富の再分配」、Googleの言う「ウェブでも民主主義は機能する」(Googleが発見した10の事実)に通ずるところがあるだろう。

情報技術による社会への貢献を考える私としては、このような良い面と悪い面の両面を常に頭に入れておく必要がある。