Google Developer Day 2011東京の基調講演におけるChrome/HTML5部分の補足

11/1のGoogle Developer Day 2011東京にご参加いただいた方、お疲れ様でした。ご参加ありがとうございました。

私が担当したChrome/HTML5の基調講演部分の補足をします。

WebGL

WebGLが普及期に入ったと私が発言したのに違和感を覚えた方もいらっしゃる方もいらっしゃるようです。普及期という言葉はさておき、実用的なアプリケーションで使われるようになったのは事実であり、それをご紹介したいと考えていました。ここでは、その点を補足したいと思います。

基調講演のデモでは、WebGL Bookcaseを紹ご覧いただきました。

その際も説明したように、グラフィカルなUIとそれをささえるクラウドによって提供される大量の書籍データ。これなどは単にネイティブアプリケーションの代わりになるというものではなく、Web技術ならではのアプリケーションと言えるでしょう。

基調講演では時間の関係で割愛しましたが、ほかにもWegGLの魅力を伝えるものに、次のようなデモもあります。

昨年の基調講演でもWebGLのデモはお見せしたのですが、Chromeにコマンドラインフラグを付けて動作させる必要がありました。今では通常のChromeで何の設定もせずにWebGLをお使いいただけます。

さらに実際に製品としてWebGLを使っている例としても次のようなものがあります。

  • TinkerCAD: ブラウザ内で動作するソリッドモデリングツール
  • 3D Tin: 3Dモデリングツール
  • MapsGL: Google Mapsの3D表示をプラグインなど無しで実現

TinkerCADなどは単純な操作でモデリング出来、STLフォーマットを介して3Dプリンタでの印刷も可能です。また、MapsGLはGoogle Mapsの新しいUIとして誰でも利用出来るようになっています。

本格的普及完了というわけではないですが、普及に向けての動きは確かに感じられるのではないでしょうか。

Web Intents

Web Intentsについては、AndroidのIntentsがWebの世界に来ました、と説明しました。まさにこのとおりで、複数のWebサービスを連携させるための標準的なしくみと考えられます。

いくつものサービスを連携する際に、個別のWebサービスのAPIを用いるのではなく、統一されたインターフェイスで複数のサービスとの連携が可能になります。

投稿を複数のソーシャルネットワークで共有する場合、写真を編集/保存する場合など、ユーザーは自分の好みのサービスを使えるようになります。

これを実現するためには、今までは開発者が利用者の多いサービスの複数のWebサービスAPIを用いていました。新しいサービスが人気になるために、その対応に追われていたのではないかと思います。Web Intentsはそのような状況から開発者を解放するものです。

Web Intentsについては午後のセッションで解説されましたので、そちらのセッションのYouTubeビデオ(後ほど公開)をご覧ください。

なお、Web Intentsについての議論は http://webintents.org で進められています。

リッチメディア

リッチメディア、すなわち高度なメディアサポートについては、Web Audio APIのデモを中心にご覧いただきましたが、ビデオフォーマットであるWebMも確実に普及が進んでいます。ChromeFirefoxOperaでは標準サポート、IE9でもプラグイン経由でサポートされています。また、WebMのビデオコーデックであるVP8がチップレベルでもサポートされ始めています。

Web Audio APIのデモとしてはDrum MachinePlinkをご覧いただきましたが、これ以外にもChromiumのWeb Audio Samplesのページには多くの魅力的なデモがあります。

なお、Web Audio APIW3Cで標準化が進められており、現在のところChromeSafariのNightly Buildで利用出来ます。

W3C Web Audio API Spec: http://dvcs.w3.org/hg/audio/raw-file/tip/webaudio/specification.html