Surfaceのあるくらし 〜 その1 タブレットでもノートPCでも非ず

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実に久しぶりにWindowsマシンを自分用に買った。

Microsoft Surface Proだ。発表以来気になっていたものの、日本では既存のWindowsソフトウェアをインストールできないという制限のあるSurface RTしか販売されておらず、海外からSurface Proを購入した友人がTwitterやFacebookで流す情報を羨ましく見ることしかできなかった。

使い始めて、1週間と少し経ったが、まだ慣れないところも多い。巷の評価は高いようだが、個人的に今感想を求められたとしたら、「微妙」と答えるだろう。ただ、勘違いしないで欲しいが、「微妙」という言い方をしていても、否定しているわけではない。

人間は普段使っている環境とは異なる環境に置かれると、それに戸惑う。戸惑っている間はどうしてもそれに対して否定的になるが、実は、それは慣れの問題だけであり、実際には新しい環境のほうが優れているということも多い。

そのため、私は使い慣れているソフトウェアやサービスのユーザーインターフェイスが新しくなった際にも、決してすぐには評価しないようにしている。しばらくして慣れると、最初の違和感など無くなっていることがほとんどだ。

前置きが長くなったが、このSurface Proについての使用感を適宜まとめてブログに書いていきたいと思う。今回はその第1弾。

「いいとこ取り」か「二兎を追う者は一兎をも得ず」か

Surfaceはタブレット的なタッチデバイスとしても、ノートPCとしても利用できる。Widows 8自身がそのように設計されたOSであり、Surfaceのディスプレイはタッチ対応なので、スマートフォンやタブレットのように画面を指で触って操作できる。また、Touch CoverとType Coverという物理キーボードがオプションとして用意されており、それを購入することで、キーボードを使って、通常のノートPCのように操作できる。私はTouch Coverのほうを購入した。

キーボードは、実はType Coverを購入したつもりだったのだが、間違えてオーダーしてしまったようで、まだ、入力には戸惑っている。もし、慣れることができなかったら、Type Coverを追加購入するかもしれない。友人の中には、もっと本格的なBluetoothキーボードを利用しているものもいる。

キーボードに慣れるまでには時間がかかるかもしれないが、最悪の場合でも、Bluetoothキーボードを用意すれば、ノートPCとしても、タブレットとしても利用できるはずだ。こう考えると、まさに理想的なデバイスなのだが、現在までの私の印象は、すでに書いたように「微妙」だ。ノートPCにもタブレットにもなると考えるよりも、むしろ別物として考えたほうが良いと思い始めている。

純粋なタブレットとして使うのが辛いことには購入したその日に気づいた。

私はタブレットとしては、Nexus 7を使っている。夜寝る前に横になりながら(仰向けに天井を向きながら)、Nexus 7を手で持ち、電子書籍を読んだり、ウェブを閲覧することが多いのだが、Surfaceではデバイスが重く、同じように使うことは無理だった。もともとサイズが違いすぎるので、比べること自身が適切でないのだが、実際に持ってみるまでは、ここまで重いとは思わなかった。

Nexus 7(WiFiモデル)が340g、iPad(WiFiモデル)が652g、Surface Proが907g。この差は大きい、寝ながらというのは極端な使い方かもしれないが、たとえば、混んでいない通勤時で、ほかの乗客に迷惑をかけない場合でも、積極的に開きたいとは思わない。

では、キーボードもついているし、ノートPCとしては使えるかというと、こちらも「微妙」だ。

キーボードの使い勝手は慣れるだろうと楽観的に考えているので、そこは問題ない。むしろ、今(私にとって)問題なのは、本体とキーボード部分のバランスだ。通常のノートPCの場合、本体はキーボード側であり、ディスプレイ側がサブだ。蓋を開いた状態には、そのままの状態で安定する。Surfaceはそれが逆だ。ディスプレイが本体であるため、キーボードを装着した状態でも、ディスプレイ背面にあるスタンド(キックスタンドと呼ぶらしい)を立てないと使えない。

机などの上で作業するのには、そんなには困らない。だが、ノートPCはラップトップPC(ラップの"lap"とは「膝」のことだ)と呼ばれることもあるように、膝上に乗せて使うことも多い。少なくとも、私はそのような姿勢で使うこともままある。Surfaceでは、それができないとは言わないが、極めて使いにくい。膝に乗せて使う多くの場合、リラックスした姿勢を取りたいことが多いのだが、Surfaceでは姿勢を崩すと、スタンドが不安定になってしまうため、常に姿勢を正しく保たなければいけない。これはこれで健康には良いのかもしれないが。

新しいデバイスか

このように、未だにこのデバイスとどのように付き合って良いのか図りかねているのだが、少なくとも、タブレットでもノートPCでも無いと考えたほうが良いように思えてきている。タブレットとしてもノートPCとしても完璧ではないということで否定するつもりは無い。繰り返しになるが、「慣れ」が解決するものも多いはずだ。

ただし、OSとしての課題も感じる。

これはもしかしたら設定などで解決できるのかもしれないが、物理キーボード(Touch Cover)を装着した状態で使っているときに、ディスプレイ上の入力領域をタッチすると、タッチキーボード(画面上でタッチ操作で入力ができる仮想キーボード)が画面上に表示されるのには困っている。私はスクロールなどの画面操作はタッチで行うが、入力は物理キーボードから行いたい。にもかかわらず、タッチキーボードが表示されてしまうので、それを毎度閉じて画面領域を確保してから、入力を行う。

タッチキーボードも一種のキーボードであるため、複数のキーボードが装着されている環境で、どのキーボードを利用者が使うと考えれば良いかという、Windowsに限らずどのOSも抱える課題が、Surfaceというデバイス上で顕在化したものであろう。利用者がどのキーボードを使いたいかを推測することは難しく、そのため、直近に操作されたデバイスが利用者が使いたいデバイスであると推測する。この仕組みに沿えば、タッチ操作をしているのだから、文字入力もタッチ操作で行いたいと考えるのは極めて自然だ。だが、少なくとも私はそうではない。これなどは些細な問題といえるのかもしれない。しかし、タブレット的にもノートPC的にも使おうとした場合は、このような微妙なずれが存在することでストレスを感じるのも事実だ。Surface以外のタッチディスプレイを持つWindows 8対応PCというのは、この問題をどのように解決しているのだろう。

 

今回は少し否定的なトーンになってしまったが、タッチペンなどを使った場合にはまた印象が大きく変わるだろう。いずれその部分も評価してみたい。

いずれにしろ、新しいデバイスのパイオニアとしてのSurface。使ってみることで、将来のコンピューティングデバイスについての気づきを多く得られるだろう。もっといろいろと触ってみたいと思う。ちなみに、まだキーボードには慣れていないため、このブログ記事は残念ながら、Surfaceからの執筆ではない ;-)

次回はソフトウェア環境について書いてみようかと考えている。

※ 久しぶりのWindowsなので、常識的なことを知らない可能性がある。設定で解決できるもの、私が単に無知なところについては、コメントなどで教えていただきたく思う。また、私の文章力の無さから否定的に感じる部分があるかもしれないが、それは真意ではない。