2008年9月2日(日本時間9月3日)、ChromeのWindows向けβ版が公開された。
当時、Googleが独自ブラウザを開発していることはトップシークレットだった。取るに足らない小さなリーク記事を除いて、当日まで完全にこの事実は社外には伏せられていた。
Chromeの公開はサプライズの形で行われる予定だったが、Chromeの開発経緯や技術を解説したコミックが誤って一日早く送付されてしまったため、慌てて一日前倒しでアナウンスをした。私を含む日本側スタッフも慌ただしく対応したことを思い出す。
Googleはどうやら本気だ。独自のChromeブラウザをマンガ付きで発表 | TechCrunch Japan
Googleはその時のことをブログで次のように書いている。
At Google, we have a saying: “launch early and iterate.” While this approach is usually limited to our engineers, it apparently applies to our mailroom as well!
いわく、「Googleにおいて、"launch early and iterate"(早くローンチして、反復して改良する)という格言がある。通常はこのアプローチはエンジニアにのみ限定されるが、我々のメールルームにも適用されてしまったようだ」
周到に準備されたはずのものが、ふとした手違いで予定より早く公開されてしまう。
そんなことは人生で一度くらいだろうと思っていた。
ゲーム
人生ゲームというゲームがあるくらい、人生をゲームに例えられることは多い。
「おはよう」さあ始めようか
ゲーム開始のファンファーレ
(PLAY / SEKAI NO OWARI)
まだ今と比べると小さかったGoogleに入社したのが9年前の2006年。検索やマップなどですでにネットユーザーには欠かせないサービスとなっていたが、会社そのものは外からは良く分からない。その得体のしれない会社が気になって気になって仕方なかった。
幸運なことにそのGoogleに入社して、いろいろなことを経験した。ここ7年ほどChromeの開発を担当。
Chromeを発表したときには、何故いまさらGoogleがブラウザを開発するのかと聞かれていたほどだったが、その後、ウェブ技術は息を吹き返し、アプリケーションプラットフォーム技術としてさらなる発展を遂げている。このような技術の新しい流れを作るチームで働けたことは本当に幸運だった。
ゲームで言えば、1つのステージをクリアしたか、もしくは1つの隠し部屋の中は探し尽くしたくらいは出来ただろうか。
999
さあ行くんだ その顔をあげて
新しい風に 心を洗おう
偶然なのだが、私は9年ごとにキャリアチェンジをしている。社会人として最初に勤めた会社*1に9年、そして次のMicrosoftに9年。Googleに勤め始めたころは9年も勤めることは考えていなかった。もっと早く辞めることを考えていたわけではないのだが、自分がちゃんと務まるかもわからない状態で9年という長期間を考えられるわけもない。
ただ、去年くらいからだろうか。そろそろ9年になるなと気づいた。プロジェクトになんら不満もない。だが、自分のキャリアを考えなおすには良いタイミングとなった。
いろいろと考え、多くの人に相談した結果、退職し、新しい道に進むことになった。目の前には多くのチャレンジがあるだろうが、不安よりも新しいことを始められることにワクワクしている。
++
先ほど引用したSEKAI NO OWARIのPLAYでは、少し変なゲームで失敗を繰り返し、魔法の呪文は無いかと探す主人公に、次のように書かれた呪文の書が渡される。
「冒険の始まりは君の中の
ここじゃないどこかへと行ってみたい気持ちだから
どんなに険しい道に阻まれようと
その気持こそが君の使える魔法だよ」
(PLAY / SEKAI NO OWARI)>
「ここじゃないどこか」は私にとってまったく新しい環境です。
Incrementsに入社しました。これからもよろしくお願い致します。
経緯などについては、Techcrunchに記事にしていただいたので、そちらをご覧ください。
なお、この記事を「未来日記」の形ですでに見てしまっていた人もいるかもしれません(なので冒頭のエピソードを紹介しました)。私としては、二度あったので、三度目もまたいつかあるのかなと思っています ;)
話が見えない人は気にしないで大丈夫です ;)
あと、会社からのブログもあります。