はてなはFirefox濃度が高いという仮説

このブログに訪れるユーザーだが、Firefox利用者の比率が高い。Seesaaに別に持っているブログと比べてみたが、明らかにここはてなはFirefoxの比率が高い。

このブログは一度、Firefoxユーザーから大量にアクセスされることがあったので、多少差っぴいて考える必要はあるが、開設してからのすべてのアクセスで分析しているので、このときの大量アクセスは誤差のうちと考えて良い。

はてな全体に関して言えるのかはわからないが、少なくとも私のはてなダイアリーに関してはFirefoxユーザーが多いことは言い切れる。Seesaaのブログも同じようなユーザー層をターゲットにしているので、ユーザー層の違いによりFirefoxの利用比率の違いがあるとは思えない。やはり、はてな特有の特徴ではないかと思える。

本当は、はてなで違うテーマでブログを書いてみて、そこに訪れるユーザーのブラウザ比率と比較してみる必要があるだろうが、はてなとFirefox、何か共通するものがあるのかもしれない。情報感度の高さ?

この件、面白いテーマなので、もうちょっと考えてみたい。

キャズムに挑むFirefox

テクノロジーのライフサイクルはジェフリー・ムーアーの「キャズム」によると、次の図のように表される。

この図にあるように、テクノロジーはイノベーターから始まり、アーリー・アドプター、アーリー・マジョリティ、レイト・マジョリティ、ラガードという順にユーザーを獲得し、普及していく。

FirefoxはIE本体にWebの最新技術−たとえば、RSSアグリゲーター/リーダーやタブブラウザーといった技術−が標準で組み入れられない間隙をついて、最新技術を好むイノベーターからアーリー・アドプターといったユーザーを獲得したのではないだろうか。グリースモンキーによる拡張性もイノベーターやアーリー・アドプターの他者との差別化を要求する需要にマッチしたものと思える。

ただ、Firefoxキャズムを超えて、アーリー・マジョリティを獲得できるかどうかは不明だ。個人としてではなく、企業ユーザーによる導入やコミュニティ以外のオフィシャルサポートなどが必要となるだろう。IEに迫り、さらには超えるためには、新たなブレークスルーが必要だ。

しかし、イノベーターやアーリー・アドプターを獲得したということはそれだけで、十分大きな影響力を持ったことになる。イノベーターやアーリー・アドプターの多くはコミュニティリーダーであったり、技術トレンドを創出するような人たちだ。このユーザーセグメントを奪われていることについては、IEは十分な危機感を持たなければいけない。

はてなとFirefoxに共通するユーザー特性

どこで読んだのか失念してしまったが、ここはてなも平均的なインターネットユーザーとは少し異なるユーザーが集まっていると聞く。上で、「情報感度が高い」というようなことを書いたが、Firefoxユーザーと重なる何かがある。

それは、Web 2.0で言う、CGMのようなものではないだろうか。提供者と利用者という立場を明確にした関係ではなく、自らが使うものの改良に積極的に関与していくという、そのような意識の高いユーザーを双方(はてなとFirefox)とも引き付けているように思える。オープンソース的な仕組をはてながサービス開発に取り入れているともいえるが、それだけではなく、さまざまな実験的な手法を率先して実践している。これがFirefoxにも共通するところだろう。

IEでもアドオンを集めたサイトを公開したり、検索エンジンをプラガブル(プラグイン形式)にしたりと、同じような方向性を考えている。ただ、はてなにしろ、Firefoxにしろ、利用者のロイヤリティは非常に高いようだ*1。これを打ち破るためには何か別の工夫が必要だ。

ブログ読者におけるFirefox濃度

実は、上のグラフでは、はてなダイアリーSeesaaともに技術に関するブログを集計したものを示したが、私の持つSeesaaの別のブログ*2でもFirefoxユーザーの比率は高い。一般的に言われているFirefoxの市場シェアよりも高い。これは何を意味しているのだろうか?

考えられる理由は2つ。

まず、FirefoxにはRSS機能が標準装備されているため、Fifefoxユーザーの中でブログを購読する比率がIEユーザーよりも高いことが考えられる。つまり、必要に迫られて(ブログを読むために)、Firefoxを使い始めたユーザーだ。このユーザーはIEにRSS機能が標準装備されれば、IEに戻ってくるだろう。もしくはオンラインのRSSリーダーや専用RSSリーダーで使いやすいものがあれば、乗り換えることを厭わない。

次に考えられるのが、ブログが普及したとは言っても、まだテクノロジー・ライフサイクルにおいて、キャズムを超えておらず、ブログの読者層とFirefoxユーザーがどちらもイノベーターもしくはアーリー・アドプターであるという可能性だ。言い換えると、ブログ読者の多くはRSS機能の標準搭載の有無にかかわらず、Firefoxを好んで使うのではないだろうか、ということだ。

実は、後者の可能性も少なからずあるように思える。

というのも、「IEの広告クリック率がFirefoxの倍以上に」という記事を読んでわかるように、Firefoxユーザーは情報の選別に関する問題意識が高いことがわかるからだ。

この2つ、見方を変えれば、にわたま問題である。ブログを読むからFirefoxを使っているのか、Firefroxを使う人がブログを読む人なのか。結果を見て論じているだけなのかもしれないが、どちらにしても、FirefoxRSS機能を標準装備することにより、ベストなソリューションをロイヤリティの高いユーザーに提供でき、それによりさらにロイヤリティを高めることに成功している。

他人事のような言い方で恐縮だが、IE7が出た後の状況の変化が楽しみだ。

*1:他人事のように言っているが、私もはてなファンだ。

*2:技術系ブログではない。