エコポイント 2.0

東京電力の計画停電は今年末まで続く見込みらしい。夏などエアコンが使えないとなると、かなり厳しい状況になるだろう。病人や下手をすると死者が出る可能性さえある。

需要と供給のバランスが崩れたことにより、今のような状況に陥っている。供給については、東電に努力してもらうしかないが、需要については利用者である個人や家庭、企業が努力可能である。つまり、節電努力である。

努力するためには、現状の分析が必要であり、目標が必要だ。だが、聞くところによると、東電でさえ、今どのように電力が使われているか把握出来ていないという。

スマートメーター

スマートグリッド計画の1つであり、すでに一部導入が始まっているものにスマートメーターというものがある。

電気使用料の検針作業を人が行わず、通信機能を持った電気メーターが自動的に電力事業者へ遠隔報告する(AMR)。料金確認目的のみならず、電力使用量を常に観測する事で供給計画に役立てる。今後登場するさらに高機能なスマートメーター(AMI)では、事業所内や家庭内のエアーコンディショナーや照明、温度計、セキュリティ機器などの制御まで行うことが構想されている。スマートメーターの導入は2009年末現在、欧州での導入が先行している。
Wikipedia: スマートグリッド

すでに今回の計画停電はスマートメーターが導入されていれば必要無かったという意見もある。

BLOGOS: スマートメータがあれば、輪番停電は不要だった
アゴラ: 計画停電の先の、その先

電力供給の不足は今後しばらく続くであろうことを想定すると、今からでもスマートメーターの導入を促進すべきであろう。

インセンティブ

スマートメーターの導入により、電力消費の実態を事業者(東電)と各世帯が把握することが可能となる。各機器レベルの消費も把握出来れば、家庭でどのように節電に努めれば良いかも把握出来る。

一方、節電は苦痛を伴うものであることも理解しなければいけない。誰だって、暑苦しい部屋は嫌だし、大きな音で音楽を聴きたいこともある。

苦痛を解消するための仕組みとしてのインセンティブも求められる。つまり、努力したものが報われる世界の実現である。

消費世界における常で、まず考えられるのはコストにそのまま反映させる考えである。実際すでに始まっている。東電は電気料金の値上げを発表した。夏に向けて、さらに上がるのではないか。

このコストインセンティブにより、節電努力すれば、その分コスト削減になる。家庭ならば、家計へのマイナスインパクトを少なく出来るし、企業ならば経費削減になる。

だが、コストインセンティブにはなんら楽しみがない。楽しみがない努力はひたすら苦痛である。

このように節電が叫ばれるようになると、まっさきにターゲットになるのが娯楽産業である。実際、パチンコ店がいまだ普通に営業されているのを見て、まゆをしかめる人も多い。パチンコ産業の良し悪しはここでは置いておくとして、一般の娯楽産業はそれ自身産業であり、それを生活の糧としている人たちも当然存在する。また、娯楽がない世界は苦痛だけの世界でしかない。つまり、節電努力を続けながら、娯楽を普通に楽しめる社会というものを実現しなければならない。

そこで提案したいのが、エコポイント 2.0だ。

エコポイント 2.0

スマートメーターにより把握出来る電力消費をポイント制にしよう。つまり、各家庭および事業所ごとに、ある基準をベースに決められた目標となる電力消費量があり、それを下回った場合に、それをポイントとする。

そのポイントを貯め、それを娯楽などを利用する際に使えるようにする。一種のクーポンのような考えだ。

たとえば、個人。節電によりポイントを稼いだ。これはスマートメーターにより把握されているので、どこからでも携帯でポイントを把握出来る。また、消費も出来る。

ある日、好きなアーティストのライブに行きたくなったとしよう。電気料金が高くなってしまったため、ライブチケットの値段も高くなっているが、ポイントを利用することで割引が得られる。

ライブ興行主はポイントにより支払われた料金を換金出来る。だが、ポイント自身でも電力供給の優遇を受けることが出来る。

事前にライブにどのくらいの電力消費が予想されるかを申告しておいたので、その分の電力消費を確実にまわしてもらえる。これはスマートメーターで可能である。その上で、その消費を下回った場合、ポイントが得られる。もし上回ってしまった場合でも、観客から集められたポイントでそれを支払うことも出来る*1

以上のような仕組みにより、単なる貨幣という経済の流通単位以外のもので、社会全体が節電に努力するようになる。

また、CO2排出量取引のように、ポイント取引が行われても良い。節電によるポイントを貨幣と交換する。ただ、この場合はポイント取引がブラックマーケット化することをどのように防ぐかを同時に検討しなければならない。

このようなことを考えてみたが、どうだろうか。簡単ではないと思うが、今の電力供給状況がしばらく続くならば、少しドラスティックに社会の仕組みから変えることも考えてみても良いのではないか。

ピンチをチャンスに変える。今まで、我々日本人はそれをしてきた。車の排ガス規制しかり。

今回も復興と新しい産業の創世を同時に考えてみたい。

*1:もちろん通常の電気料金で支払っても良いが、ポイントで支払った場合にインセンティブが与えられたほうが良い

Hack For Japanアイデアソンで出たアイデアの傾向 #hack4jp

被災者支援のアプリ開発を促進するHack For Japanのアイデアソンは先週の土曜日から開催された。それらのアイデアなどに基づき3/21(月)にハッカソンが行われたが、現在プロジェクトに結びついているものはまだ一部でしかない。Google Moderatorを用いて、アイデアを提案してもらい、そして投票してもらったわけだが、これらは宝の山だ。

Google Moderator 上では 565 人の方にご参加頂き、258 個のアイデアと 5,447 個の投票が行われました。

Hack For Japan Hackathon を開催しました

ちょっと時間がかかってしまったが、少しずつ分析してみているので、分析できた部分から公開していこう。

まずアイデアを3種類に分類してみた。被災地向けのもの、被災地周辺*1のもの、そして地域にとらわれない一般のもの。正直、分類に困るものもあったがざっくりと分類してみた。結果は以下の通り。

これにModeratorでの投票結果を重みとして計算してみた。投票は賛成と反対があるので、その差分を重みとしてかけ合わせた。結果は以下の通り。

これを見るとわかるが、予想通り被災地向けにアイデアが多く出されていることがわかる。提案も多いし、投票されているものも被災地向けのものが多い。

一方、アイデアを提案している人の地域を調べてみた。結果は以下の通り。

見てわかるが、被災地である東北からの提案は少ない*2。実際に明示的に「被災地からです」と書かれていたものが1つあったが、それ以外は被災地以外の東北地方ではないかと思う被災地からのものかどうかは不明だ*3

[更新: 3/26 9am]改めて読むと、茨城の被災者の方の提案があった。東北だけでなく、茨城や千葉なども被災地である可能性はあるので、被災地からの提案/投票かどうかはもう一度きちんと見てみたい。

Hack For Japanで実現したいと考えている、需要と供給のマッチングに向けては、本当に被災地の方が必要なものをタイムリーに得る方法を考えていかなければいけない。

また、実際のアイデアとして、Google Developer Relations Japanのブログ「Hack For Japan Hackathon を開催しました 」にトップ10があげられているので是非見て欲しい。あまりに膨大な量に目眩がしてしまうかもしれないが、元のModeratorの中も是非覗いてみて欲しい。

被災地に向けていろいろと考えている人も多いと思うが、是非、このModeratorの中のアイデアをはじめ、今回のHack For Japanの上で議論されたものやすでに進められているプロジェクトも見てみて欲しい。

*1:放射能汚染の恐れや停電の影響を受ける関東近辺まで

*2:実数では4件だ

*3:違っていたらごめんなさい。想像です。その後、もう一度見たところ、被災地からのものにも思えてきた