リフレーズのススメ

レコーディングダイエットというのがある。記録をとることでカロリー摂取量などを可視化し、それに基づき適切なダイエットを進めるというものだ。

製品開発でもそうだが、実情がわかっていないと、どこが本当の問題かわからない。感覚を大事にしなければいけないときもあるが、客観性を持つデータがすべてを物語ることもある。

ログを取り、それを解析する。Webアプリでは常套手段となっているこのアプローチを時間管理にも適用しようという記事がウォール・ストリート・ジャーナル日本版に掲載されていた。

【コラム】われわれは自分で考えるほど本当に忙しいのか - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

大変参考になる。

記録をとるということに加えて、ここで紹介されていた次のアプローチも非常に面白い。

さらに、言い方を変えてみる。「時間がない」と言う代わりに、「これは優先事項ではない」と言ってみる。そしてどう感じるかをみてみる。まさに適切な説明であることがしばしばある。シャツにアイロンをかける時間はあるが、やりたくないなど。しかしもっと難しいものもある。これはどうだろう。「あなたの履歴書を編集しません。優先事項ではないから」とか、「健康は優先事項ではないので、医者には行かない」など。もし、こうした言い方がしっくりこないとしたら、それがポイントだ。言い方を変えることで、時間は選択なのだと気づく。1時間の使い方が気に入らなければ、違った選択ができるのだ。

【コラム】われわれは自分で考えるほど本当に忙しいのか - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

言い方を変えてみることで物事の本質に気づくことがある。違う観点からの発見がある。

デブサミという開発者イベントでの講演で、時間管理の例としてミーティングのあり方について話をさせてもらった。たとえば、定例のミーティングが本当に定例である必要があるかなどの疑問も投げかけた。その中で「ミーティングとか会議」と読んでいるものを「ディスカッションとか議論」と呼び変えてみたらどうであろうと提案してみた。

言い方を社内で恒常的に変更する必要があるかは別だが、ミーティングを設定する際、その目的を参加者と改めて共有する際などに、あえてディスカッションとか議論と言い換えてみると良い。それがしっくりこなかったならば、それはディスカッションや議論するような内容ではなく、もしかしたらミーティングの必要さえないものかもしれない。

もちろんミーティングの目的がすべてディスカッションではないかもしれない。情報共有だという場合もあろう。それが明確になったら、その目的のために本当に時間を割いて参加者が集まらなければいけないのか、それはメールなどでは可能なのかを考えられるだろう。

一種の思考実験としても、リフレーズ、すなわち言い換えは良い手法だ。

お試しあれ。