TwitterのRetweet(RT)について考えてみる
TwitterがRetweet(RT)の公式サポートを考えているのは周知のことだと思う。もうすぐ公式サポートになりそうなのだが、非公式で利用されている現在と違ったものになりそうだ。一番大きいのはコメント付のRetweet(RT)が許されなくなるのだが、それに対して簡単に反対とは言えない部分もある。議論の流れを見ていたり、自分はどう利用したいかを考えているうちにわけわからなくなってきたので、ここにメモっておいてみる。
Retweet(RT)とは
Retweet(以下、RTと略)は自分がフォローしている人のつぶやき(Tweet)を自分をフォローしてくれている人に転送することだ。現時点では、Twitterの公式機能ではない。
現時点でのRTはある人のつぶやきに「RT」というプレフィックスをつけて自分のつぶやきとして投稿するだけの機能だ。それ以上でもそれ以下でもない。「RT」という文字列に続いて、@付でオリジナルの投稿者のユーザー名を記す。これにより、誰のつぶやきをRTしているかを把握できる。
また、RTは連鎖する。たとえば、takorattaというユーザーのある投稿をtakuyaoikawaというユーザーがRTし、さらにtakuyaoikawaがRTしたつぶやきを別のユーザーがRTすると次のようになる。
RT @takuyaoikawa RT @takoratta 最初の投稿だよー
また、RTする際にコメントも付加することが可能となっている。したがって、上の例でコメントが挿入された場合は次のようになる。
これ面白い RT @takuyaoikawa こうやるんだ! RT @takoratta 最初の投稿だよー
Twitterクライアントの多くがRT機能を実装しており、RTボタンをクリックするだけで自動的に「RT」をプレフィックスとして付加してくれるようになっている。
現状のRTの課題
非公式機能であることもあって、現在のRTには課題も多い。
- 140文字の文字数制限
RTは140文字の文字数制限の影響を受けるため、オリジナルのつぶやきが140文字ぎりぎりだったりした場合、そのままではRTできない。オリジナルのつぶやき投稿者のユーザー名*1とRTという文字*2が必要になるため、140文字を超えてしまうことも多い。そのため、オリジナルのつぶやきや途中RTをしたユーザーやコメントなどを削除することも行われている。 - オリジナルのつぶやきの改変
上に書いたようにオリジナルのつぶやきをそのままRTできない場合、それを投稿元の承諾を得ないまま改変することがある。また、現時点ではTwitter公式機能ではないこともあり、真正の証明もできない。そのため、自分の知らないところで、一部改変や省略されたつぶやきが伝播されていくことが起こりうる。 - オリジナルのつぶやきへのリンクがない
RTは単なるテキストをコピーして新たなつぶやきとして投稿されているだけなので、オリジナルのつぶやきへのリンクがない。もし興味のあるつぶやきがRTされてきたとしても、オリジナル投稿者はわかるが、その人のいつの時点のつぶやきかは自分で探すしかない。 - 自分のタイムラインがRTで埋め尽くされる
自分のフォローワーたちが同じ人をフォローしており、その人が非常に興味深いつぶやきをした場合、自分の複数のフォローワーから元が同じつぶやきのRTを受信することがある。フォロー数が多い場合には、自分のタイムラインが同じつぶやきのRTで埋め尽くされてしまうこともありうる。
Twitterでの公式サポート
非公式機能でありながら、定着してきたRTをTwitterは正式サポートすることになるのだが、その内容は現在使われているRTとは若干異なる。
- 同一RTはまとめられる
上で述べた課題の1つである複数のフォローワーから同じつぶやきがRTされ、それによりタイムラインが埋め尽くされるという現象を避けるために、同一のRTは1つにまとめられるようになる。 - RTは別画面で表示される
既存アプリケーションとの互換性維持のために、RTは現在の/statuses/friends_timelineの中には現れない。以下、http://groups.google.com/group/twitter-development-talk/browse_thread/thread/1e07e332ec3d449d/7d0e21a95fe34a28?q=retweet&lnk=ol& より。We don't want to break existing apps that don't add retweeting support or create a confusing experience for that app's users. So the /statuses/friends_timeline API resource will remain unchanged--i.e.
retweets will *not* appear in it.API v2において、置き換えされるそうだ。
For those who *do* want to support retweets, we are adding a new (more aptly named) /statuses/home_timeline resource. This *will* include retweets. The /statuses/friends_timeline API resource will continue to be supported in version 1 of the API. In version 2 it will go away and
be fully replaced by /statuses/home_timeline.実際のウェブ画面のモックは以下の通り(http://groups.google.com/group/twitter-api-announce/browse_thread/thread/3641a248d555da20/c0eb496105eece3c?hl=en&lnk=gst&q=retweet#c0eb496105eece3c より。クリックすると拡大)。
ダイレクトメッセージを確認するのと同じように、別画面でRTを確認できる。1) 自分のフォローワーからのRT、2) 自分がRTしたつぶやき、3) 自分のつぶやきでRTされたもの がそれぞれ別タブとなっている。この画面はあくまでもモックなため、最終的には変更される可能性があることに留意されたい。
- コメントの追記不可
コメントは許されない。
この公式サポートされるRTにより、上であげた現在のRTの課題はほぼすべて解決される。ただし、コメントが追記できないことは人によっては現在の利用法と大きく異なることになる。日本においては、RT署名という形で反対意見を募集していたこともあるなど、この機能が必須という人も多いだろう。
RT+コメント
コメントがサポートされないことの背景には、1) 米国圏では、RTにコメントが付加されることがそれほど多くない、2) Twitterとして、まずはシンプルなアプローチから開始したい ということがあるようだ。
確かに、RT+コメントを許可すると、複数のRTをまとめることが簡単には出来なくなるし、140文字制限の問題も発生する。また、RT+コメントは現時点でもコメントという議論の場を提供する仕組みとしては致命的な問題をはらんでいる。たとえば、自分のつぶやきがRTされて、それに自分がコメントをしたい(反論したい場合もあるだろう)場合、@でコメント返しすれば良いのだが、残念ながら、それはそのRTを見た人全員には届かない。
たとえば、以下のようにRTされたとする。
takoratta -(RT)-> takuyaoikawa
ここで、takorattaがRTされたtakuyaoikawaのつぶやきに対して@でコメントを返しても、それはtakorattaをフォローしているtakuyaoikawaのフォローワーにしか届かない。わずかなホップ数でさえこのような状況なのだから、伝播されまくったRTなど、もはや自分のコントロール外だ。
個人的にも、RTにコメントをつけることは多用しているので、この機能が正式サポートから外れる見通しであることは残念だが、このようにいくつか根深い問題をはらんでいるので、段階的なサポートを行いたいというTwitterの姿勢は支持できる。
もしかしたら、現在RTで行われているコメントは別機能として実装されるべきなのかもしれない。
そのほか
RTに関して言った場合、元のつぶやきが削除された場合、RTも削除されるのかは未確認。是非ともサポートされていて欲しい。今だと、うっかり発言してしまったものがRTされた場合、それを取り消すことは不可能だ。
さらには、コメントをはじめとする議論の場として考えると、フォローしていない人にまでその場を広げるには、つぶやき1つだけでなく、つぶやきの流れ(ストリーム)に対してのIDを割り当てることも必要だ。140文字という制限上、どうしても1つのつぶやきだけでは話がまとまらず、2つ3つ以上のつぶやきがチャンクとなって成り立つこともある。このような場合、RTにしても、もしくはお気に入り(Favorites)にしてもそのチャンクに対して行えるほうがうれしい。たとえば、ある発言をした後に、「なんちて」とつぶやいたとして、その「なんちて」抜きで発言が一人歩きしてしまっては議論が成り立たない。もちろん、そんなうかつな発言をするのがリテラシーがなっていないといわれるとそのとおりなのであるが。
ここまで書くと、ならばTwitterのディスカッショングループなどで発言すれば良いではないかと言われるかもしれないが、そこまでTwitterに思い入れはない*3。あしからず。