一方通行のブログ
シックス・アパートがビジネスブログに関する調査結果を発表したようだ*1。興味深い結果もいくつか出ているが、特に気になったのは次の意見。
CNET Japan: 企業のブログに8割以上が「消費者の声を聞いてほしい」--シックス・アパート調べ
「ビジネスブログ機能について」は、「コメントをオープンにしてほしい」が88.4%、「トラックバックをオープンにしてほしい」が79.4%と、企業ブログのオープン化を望む意見が多く寄せられた。
これは逆に言うと、ビジネスブログの中にコメントやトラックバックを許可していないものが少なからずあるということだろうか。コメントやトラックバックなどを許可しないのであれば、それは単なるCMSとしてのブログの利用に過ぎないだろう。
企業は「炎上」を気にしているのかもしれないが、それは注意すればほとんどの場合、避けられる。
前の会社でも部署のブログを半年以上担当していたのだが、ほかの部署のブログではコメントやトラックバックを許可していないものが多かった。ブログを開設するとき、そのような状況を知っていたので、コメントとトラックバックを許可するのには少なからぬ勇気が必要ではあったのだが、結果から言うと得られるもののほうがはるかに多かった。
まず、コメントやトラックバックを通じて、双方向のコミュニケーションが可能になる。掲示板ではないので、本来ならばそこで一般的な質問や本題とかけ離れた議論がされるのは避けるべきかもしれないが、あえてあまりルールを厳格にしなかった。その結果、開発中の製品についてのバグレポートもここから得られることができ、非常に助かった。バグレポートには正式な窓口があるのだが、なんらかの理由に開発部署に届かないこともある。そのような場合に迅速にコメントとして連絡いただけたことで助かったことも多い。コメントに対して、きちんとコメントを返すことで、さらに双方向のコミュニケーションは加速される。ブログによっては、コメントが放置されっぱなしになっているものも見受けられるが、それは避けるべきだろう。もちろん、マイミクの日記のへのコメント返しのように、変に義務化してしまうほど堅苦しく考える必要はない。
正直言うと、ブログの内容とはまったく関係ない、誹謗中傷の類のものもあったが、それらはあえてそのままにしておいた。個人的にはきちんと反論をしてみたかったのだが、「炎上」となることを避けるべきだという社内意見に従ったためだ。結果的にはそれで良かったのだが、一度炎上させてみるのも良い経験かもしれない。ただ、私の場合は個人名を記載してブログへの投稿をしていたので、やはり炎上はできるだけ避けるべきだろう。
少しここでの趣旨とは逆のことを言うが、コメントやトラックバックが無くても読者のフィードバックを得ることはできる。ブログシステム(CMS)によっては、リファラをトラックできるものも多い。使っていたCMSがそうだったのだが、これによりアクセス元となっているブログをこちらから逆に訪問することで、投稿したブログの内容に対して、どのような意見が書かれているかを把握することもできる。このような形で見つけたブログで製品開発に役立ったものも少なからずある。
いずれにしろ、ビジネスブログは企業の新たな広報手段としてだけでとらえるのではなく、やはりコメント、トラックバック、さらにはアクセス解析などを通じての双方向コミュニケーション手段として捕らえるべきだろう。
わずか半年ちょっとだったと思うが、ビジネスブログを担当してみたものとしての意見だ。