最近のIPv6について

ここでは今の仕事に関係することは書かないようにしているのだけれど、今回だけは特別許して欲しい。

IPv6化の第一歩

itojunさんが亡くなって早くも一年が経つ。私は彼とそんなに親しい間柄ではなかったのだが、亡くなる数ヶ月前くらいから連絡を再開するようになっていた。亡くなったことを知った日のブログにも書いたように、まさにある件でメールのやり取りをしていた最中だったので、ショックはかなり大きかった。あまり良く覚えていないのだが、Vint Cerfにすぐにメールしたのだけは覚えている。

彼がいなくなって、IPv6から少し距離を置いてしまっていた自分を恥じた。「IPv6原理主義者と呼ばれてもかまわない」などとだいそれたことを言っていた人間が転職してからトーンダウンするのはいかがなものか。もちろんミッションが異なるので、前と同じことは当然出来ない。ただ、それでも興味を持ち続けていることはできる。正しいと思うことを主張することはできる。

結果、彼の命日に間に合う形で、小さな一歩を踏み出すことができた。

2011年がIPv4アドレス枯渇時期か?

いろいろと調べてみると、最近の予測では2011年がIPv4アドレス枯渇する時期かと言われている。いみじくもアナログ停波と同じ時期。あと2年しかない。

さらにいろいろと調べてみると、キャリアグレードNATは必須と考えられている状況のようだ。お? NATの多段問題とかはどうなったのかと思った。去年、「なんて弱気な」というエントリーで書かせてもらったように、今になって「IPv4プライベートIPアドレスとNAT技術を組み合わせていく」ことを考えているんじゃなかろうなと思ったりしたのだが、NTTコムの宮川さんの説明でクリアになった。

宮川氏はまず初めに「IPv4アドレス枯渇対策にはIPv6化が必須であることは議論を待たない」と述べた。そのうえで,Windows XP SP3以前のOSはDNSのトランスポートにIPv4しか使えないため,IPv6移行後もIPv4を提供する必要があることも併せて指摘した。つまり「IPv4をいつやめるのか」という問いは,「今購入したWindows XP SP3の火をいつ消せるのか」と同義だという。同氏は,Windows XP SP3以前のOSを搭載したパソコンが使われなくなるまでに10年はかかるだろうと予想した。

「ISPはキャリア・グレードNATを2010年に開始すべき」,IPv4枯渇対応セミナーでNTTコムの宮川氏が主張

つまり、移行期間のための技術だ。宮川さんが書かれているように、「キャリア・グレードNATがあれば今後もIPv4アドレスだけでサービスを継続できると勘違いしている人がいるが,これは古い装置をそこそこのサービス・レベルで使うためのもので,IPv6は必要だ」。説明を放棄するようだが、この記事はとても良い記事なので、みんな読むように (^_^)。