科学未来館

ふと思うところがあって、お台場にある科学未来館に行った。

ゴールデンウィーク中だったにも関わらず、混んでない。子どもたちは学校があったためか。中年男が1人でいるのは目立つかと思ったが、中にちらほら同類が見られる。

ざっくりと全体の感想としては、もうちょっとエンターテインメント性があっても良いように思った。実際に操作できる展示物が多いのではあるが、全体的にまじめすぎる。かけられる金が桁が違うとは思うが、愛知万博のパビリオンのようなエンターテインメント性を少し期待してしまっていた。工学部の学園祭というか、なにか生真面目な感じが強すぎる。この内容だと、NiCTが夏にやっている一般公開日の催しとあまり違わない。

以下、いくつか記憶に残ったコーナーの雑感。

インターネット物理モデル

インターネットのパケット交換のしくみを体験できる。メールやウェブが最終的には電気信号として伝わることと、パケットがどのように経路情報にしたがって伝送されるかを巨大模型を使って解説している。やさしすぎず、難しすぎず、子どもには良いだろう。ただ、このモデルと実際のインターネットの仕組みとの間にはもう数ホップほどあって、これが理解できたとしても、なぜホームページが見れるのかわからないのではないだろうか。ここで学習したことを次につなげられる何かが欲しい。

文化とコンピュータ

この「文化とコンピュータ」と「探検、コンピュータの世界」、「多国語コンピュータ」、「どこでもコンピュータ」は1つのコーナーになっていて、入り口でeTRONによるICカードを発行し、そこに個人情報を登録してから見学するようになっている。このコーナーの中のすべての展示物はこのeTRONカードをかざすことで見れるようになっている。

デジタルミュージアムとして展示されている「文化とコンピュータ」は、歴史的文化物がデジタルの世界で展示されており、アバターとしてその世界に入り込み、各展示物を見学するというもの。ゲームコントローラを流用したと思われるコントローラの操作性がとても悪い。システムとしてのできも今ひとつ。

「探検コンピュータの世界」では、コンピュータシステムを階層ごとに解説してくれる。一通り、解説を聞くことで、コンピュータの仕組みや歴史を学ぶことができ、中学生以上にはなかなかお勧めだ。だが、これはわざわざここに来てしか見れないものにする必要はあるだろうか? インターネットでこのコンテンツを公開するほうが、ここに地理的に来れない子どもたちにも利用してもらうことができ、意義深いものになるのではないだろうか。なお、ここでは解説をメールでも入手するというオプションを選べるようになっており、私はすべての解説でそれを選択したのだが、まだ1通も送られてこない。もしかして、eTRONカードの情報を後からバッチで読み込み、数日立ってから送信するようなシステムになっているのだろうか。

「多国語コンピュータ」は超漢字BTRONによる多国語環境の実演。BTRONを前面に出すことには賛否両論あるだろう。UNICODEをあえて強調していないのに思えた(違っていたらごめんなさい)が、これは教育上本当に良いのだろうか。多くのシステムがUNICODEを利用して国際化を進めているのだから、UNIDODEの解説を個人的にはして欲しい。もちろん、良い面だけでなく、影の部分についても解説してもよいだろう。中国語の種類についてや、すべての言語を扱うことの難しさを解説しているのは評価できる。

なお、この一連のコーナーはTRON思想で統一されている。坂村先生もしくはTRONが嫌いな人には耐えられないコーナーだろう。「探検コンピュータの世界」でコンピュータ界の歴史上の人物紹介や日本のコンピュータ界への貢献者のインタビューなどが聞けるが、人選やインタビューの内容もTRON思想にバイアスがかかっている。また、TRONチップやTRONキーボードなどが見れるなど、逆に言うと、TRONファンには垂涎の場所かもしれない。

「どこでもコンピュータ」はRFIDの解説。

サイエンスライブラリ

デジタルメディアの図書館。カテゴリごとにビデオが用意されており、それを見ることができる。情報科学から坂村先生や村井先生の話を聞く。時間の関係上、この2人の話しか聞くことができなかったが、ほかの話もおもしろそう。ただ、これもインターネットで公開したほうが教育上の貢献は大きいだろう。


以上、いくつか記憶に残ったコーナーの感想だ。

これ以外にも、アシモのデモンストレーションがあったが、さすがに人気だった。ただ、残念ながら、走ってはくれなかった。確か、走れるようになっているはずだが…。

追記: Flickr未来館セットはここ