Windows Vistaのスリープモード

昨日、NT-Committee2の関東勉強会のパネルディスカッションに参加した。お題は「我々は環境に対し何ができるか」。いわゆるグリーンITだ。正直、なんで参加依頼が来たのか良くわからなかったりしたのだが、思いのほか大変興味深い議論ができた。

転職してから、私はブラウザだけで仕事するようになっているので、すべてのシステムをSaaS*1ベースにして、PC側はノートPCにブラウザだけインストールしておけば多くの仕事はこなせると暴論を吐いたりした。デスクではドッキングステーションに液晶ディスプレイ、それにキーボードとマウスを接続しておけば、デスクトップPCと同じような操作が可能だから、会社のPCはすべてノートPCで良いだろうと言ったら、さすがに「CADをノートPCで動かすのは厳しい」との指摘があった。もっともで、全社員がノートPCだけで良いというのは、かなり極端な提案だと思う。

ちなみに、上で書いた「ブラウザだけ」というのも極端な言い方で、実際には各種オフィス系アプリケーション*2やウェブデザイン系のソフト*3、各種IM*4がインストールされている。オフラインアクセス時などのために、Thunderbirdも入れてあり、IMAPGmailとの連携はしていたりする。ただ、ローカルに入っているデータはキャッシュのようなものなので、正直ほかのPCを使うことになっても、そんなには困らない。

さて、本題。「Windows Vistaになって電源ボタンを押しても、シャットダウンではなく、スリープになるようになったから、Windows VistaになってCO2排出量は増えているのではないか」という質問があった。

Windows VistaのスリープはWindows XPのスタンバイと休止状態(ハイバネート)を組み合わせたようなモードだが、その動作はなかなかわかりにくい。まず、元となるACPIのステートにはS0からS5まであり、スタンバイはS3、休止状態(ハイバネート)はS4のステートになる。ACPIのステートについては、「Windows XPの正体: 高速化されたスタンバイ状態と休止状態(@IT)」に書かれている表がわかりやすい。

Windows XPのスタンバイは物理メモリには電源を供給しつつも、そのほかのほとんどのコンポーネントは停止させる。休止状態は物理メモリの内容をハードディスクに退避させることですべてのコンポーネントへの電源供給を停止する。後者の場合はいわゆる待機消費電力と呼ばれるレベルの消費が発生するだけであるが、前者の場合はわずかではあっても物理メモリが必要とする電力は消費される。

Windows Vistaのスリープは両者を組み合わせたものであるが、ノートPCとデスクトップPCで動作が異なる。確認していないが、ベンダーによるプリインストール状態によっても動作が異なるのだろう。一般にはノートPCの場合ではスリープモードになると物理メモリへの電源供給する一方、バッテリ容量が少なくなった時点でハードディスクへの退避も行われる。これにより、バッテリ切れによる作業データの消失などを防ぐことができる。一方、デスクトップPCの場合はハイブリッドスリープという状態になっているため、物理メモリに電源供給をする一方、ハードディスクへの退避も行われる。ハイブリッドスリープの設定はコントロールパネルから行う。詳しい手順はDOS/V Power Reportに書かれていたので、そちらを参照。

で、元の質問に戻ると、上のような仕組みだから、答えはYes。完全電源オフに比べると、電力消費はされているのだから、CO2排出量は増えている。どのくらい電力消費されているかというと、マイクロソフトの情報では約1Wだそうだ。帰宅するときは長い間席を離れるなどでPCを使っていなくても習慣で電源をオンにしていることもあると思う。つまり、「ずっと電源を入れっぱなしにしていたオフィスのPCを今度からはスリープにするよ」と考えるのが正しいのだが、電源オフにしていたものがスリープになってしまったと考えると確かに(わずかであっても)電源を余計に使うようになってしまったといえるだろう。自宅のマシンなどで本当に電源をオフにしたいときには、面倒でもシャットダウンメニューから行ったほうが良いということ(か?)。

ちなみに、Windows Vistaのスリープモードだと、アプリケーションは電源モードの切り替えに対して標準では拒絶することができない。テレビチューナーを搭載したPCなどで録画中の場合などはこれでは困るだろう。ポリシーで変更できるようになっているほか、「退席中モード」と呼ばれるものも用意されている。参照: Windows Vista での退席中モード

以上、手元にWindows Vistaが今無くて、わずかに残る記憶とインターネット上の情報だけで書いているので、嘘書いているかも。嘘だったらごめんなさい m(_ _)m。