Twitterのブランド力
最近、Twitterが市民権を得つつあると感じるが、それとともに感心するのがTwitterの持つブランド力だ。
圧倒的なブランド力を持つ製品やサービスの場合、その製品名を持って、あるカテゴリーを代表することもまれではない。古くは「家庭用ゲーム機」というカテゴリーを代表する形で「ファミコン」が使われていたし、「携帯用音楽プレイヤー」という代わりに「ウォークマン」や「iPod」が使われる。
Twitterがすごいと思うのは、くくるべきカテゴリーが存在しない点だ。おそらくTwitterは「マイクロブログ」や「ミニブログ」と呼ばれるものが属すカテゴリーになるのだろうが、この言葉の認知度は低く、この説明をするくらいならば、「あの話題になっているTwitter」という言い方をするほうが通用する。
参院選からネット選挙が解禁という報道があったが、その報道の中でも、中立を心がける報道機関でさえ、Twitterという言葉を用いる。
歴史を振り返ってもこのような製品やサービスはそう多くない。上に紹介した「ウォークマン」や「ファミコン」の場合でも、必要ならば、十分に理解されやすいカテゴリーである「携帯オーディオプレーヤー」や「家庭用ゲーム機」を使うことが出来るし、説明される側もそれで理解出来る。
古い話になるが、「ゼロックス」が「複写機」の代わりに使われていた時代があった*1。動詞化した「ゼロックスする」というい言葉さえ存在した。そう言えば、オフィスで商談中の営業マンが営業サポートのスタッフに「これコピーして」と言っても通じずに、なんども繰り返した後に、スタッフに「あー、ゼロックスですね」と言われて、商談相手がNECだか富士通だかリコーだかして大慌てする*2という笑い話が大昔の気まぐれコンセプトにあったように記憶する*3。だが、たとえこのゼロックスであっても、「複写機」という十分わかりやすいカテゴリーが存在する。
Twitterにはそのような中立的な言葉が存在しない。そのため、「ツイッター」という言葉がますます一人歩きし、ブランド力の向上を助ける。極めて面白い状況だ。