Long Tailの逆発想=Sharp Head

インテックネットコアの荒野さんのブログ、v6くるくる日記から。

日経デジタルコアでの「竹中懇談会勉強会」に参加してより引用:

「融合サービス」について、村上氏は報告書には乗らない私見として、むしろsharp head(long tailの反対側)に図抜けたコンテンツ・コンテンツサービスを作るのが日本の通信・放送融合産業として、google対抗策のひとつのあり方ではないかと述べた。

なるほど。ずば抜けた競合力を持つコンテンツによりパレートの法則の80を取りに行くという戦法か。日本には確かに優れたコンテンツビジネスがあるのだから、このような考えもありかもしれない。

へぇ、なるほどね。私は単純にはやはりロングテールのところにインターネットの強みがあると見ていた。例えば、富山のローカルな放送を東京在住の富山県人がみるとか、幼稚園の運動会放送を田舎の祖父母が見るとか、やはりニッチや超ニッチのニーズを満たすものとしてである。村上氏の発言を聞いて、もしかしたら確かに逆の考え方もあるのかもしれないな、と思った。sharp headでの抜群のコンテンツは、ネットという国を超越したメディアにのることにより、その価値を単純人口比でも数十倍にすることもできるのだろうから(注:これは単なる私の類推。他のもっと面白い狙いがあるかもしれない)。

この議論に何が正解というものはないだろうが、私が思うに、Long TailとSharp Headの両方があるのが自然なネットの姿だと思う。圧倒的な競合力を持つサービスの場合、それで広大な面を取りに行けばよい。これを Web 1.0というかもしれないが、1.0でも2.0でもこれでプロフィタブルならばその方法を取り続けるのは自由だ。もしくは自社の強みを理解した上で、この戦略をとるのも悪くないだろう。一方、ニッチであったとしても、長い尾を巻いていけば(=Long tail)、それで多大な富を得ることも可能だ。要は自社の強みを理解した上で、どちらの戦略をとればよいかだろう。

ここまで書いていて、歴史的な経営戦略論のランチェスター戦略を思い出した。必ずしもLong Tailを志向するものがランチェスター戦略でいう弱者の戦略をとるものではないが、重なるものはあるのではないか。いずれにしろ、立場が変わればとるべき戦略も異なるだろう。

まあ、デジタルコアはいろいろ勉強したり、考えさせられたりするいい機会である。来週は、私が主査を務めることになった「ネット社会アーキテクチャ研究会」の第一回が開かれる。第1回は「ネットワークの中立性とコスト負担」がテーマである。

来週、参加予定。