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DEC Alphaの夢と現実と日本経済

かつてDEC(Digital Equipment Corporation)という会社があった*1

DECは1990年代前半まで世界第2位のコンピューターメーカーとして、ミニコンという小型コンピューターを武器にIBMを脅かそうとしていたが、さらに小型のワークステーションやパーソナルコンピューターに業務を任すダウンサイジングの波に乗りきれず、部門の切り売りをした挙句に、別の会社に買収された。

経営が傾き始めた1990年代後半、起死回生の一発とばかりに開発されたのが、Alphaプロセッサーだ。21世紀のコンピューティングを支える高速64ビットプロセッサーとして*2期待されたが、残念ながら、その後もDECの経営は改善しなかった。

当時のDECの技術者たちは、このAlphaに期待した。経営は悪化していたが、自分たちの技術に誇りを持っていた技術者たちは、もしかしたらこれで本当にDECは復活するかもしれないと夢見た。

しかし、Alphaを軸としたマルチOS戦略もAlphaのライセンスビジネスもすべて失敗した。後から知ったのだが、このAlphaの開発がDECにとって致命傷だった可能性もあるという。プロセッサーの開発には膨大なコストがかかる。工場への出費もバカにならない。世界トップレベルの技術を標榜する会社としては難しい決断だったかもしれないが、プロセッサーは他社からOEMで対応すべきではなかったか*3

さて、日本を取り巻く環境も厳しさが増している。少子高齢化に改善の兆しが見られない。

そんな中、2020年の東京オリンピック開催が決まった。オリンピックを契機に多くの社会問題を解決出来るのではないかと考えるむきもある。

だが、この東京オリンピックの開催への期待とDECのAlphaに対してDECの技術者が抱いた夢が重なって見えてしかたない。

今から振り返ると、DECが重視したハードウェアは早晩コモディティ化し、当時のライバルであったサン・マイクロシステムズもオラクルに買収され、DECを買収したコンパックコンピュータも今はもう無い*4DECはソフトウェアやサービスなど、従来とは異なる分野でのイノベーションを模索すべきであった。例えば、グーグル登場前に多くの支持を集めていた検索エンジンであるAltaVistaもDECが運営していたものだった。

箱物を中心とした投資は、オリンピック後の維持コストなどを考えた場合、それが日本経済にとって致命傷になる可能性もある。前回の東京オリンピックの時は首都高速道路や東海道新幹線などの箱物のインフラに投資し、それがその後の日本経済成長の礎となったが、今同じことをしたならば、資産ではなく負債になるだろう。竹下政権下のふるさと創生事業で作られた建造物が負債となっている地方自治体も多いが、それを国家レベルで繰り返す必要はない。次の東京オリンピックは、あれがターニングポイントだったと将来振り返った時に言われる歴史的なイベントになるかもしれない。どちらの意味でそう言われるかは今の我々にかかっている。

12月14日は総選挙。そうだ。選挙に行こう。

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(https://twitter.com/Eguchinn/status/540362229757906944)

*1:このブログでも何度か取り上げたこともあるが、私が新卒で入社した会社だ

*2:そのため、モデル番号も21064などとなっている。

*3:当時、プロセッサーはCISC型からRISC型への移行期にあり、DECも当初はMIPSテクノロジーのプロセッサーをOEMしていた

*4:ヒューレット・パッカードに買収された