犬さえ食わないものは出すな! Eat Your Own Dogfood

家電製品などにおまけのようについているネット機能などを試すたびに、絶対にこれは開発している人であっても使っていないだろうと思うことがある。いや、開発者は作っているうちに操作に慣れることもあるので、使えるのかもしれない。だが、開発に直接は携…

人材流動性と年齢差別 〜 米国シリコンバレーの事情

ロイターに面白い記事があった。Special Report: Silicon Valley's dirty secret - age bias | Reutersシリコンバレーにおける職探しで年齢差別がはびこっているという記事だ。記事は、現在60歳のRandy AdamsがCEO職をシリコンバレーで探していた時のエピソ…

置換思考実験

あるものの本質を考えてみるには、そのものをほかに置き換えることを考えてみると良い。ほかに置き換え可能だろうか。可能であるとするならば、何がそのものにとって必須なもので、何が付帯的なものだろうか。こんなことを考えてみるのは良い思考実験だ。少…

最良のインターフェイスとはインターフェイスを持たないことだ

Visual Basicの父とも言われるAlan Cooperが立ち上げたCooperに所属するGolden Krishnaが数日前に書いたブログ記事が面白いので、ざっと抄訳してみた。"The best interface is no interface"と題されたこの記事の中で、彼は「最良のインターフェイスとはイン…

オープンな仕組みで創りあげる世界観

私はここしばらく徹底した「オープン主義者」なのだが、オープンな世界では難しいことがあるのも事実だ。クローズドな世界では、その世界観は独占された提供者側で創りあげることができる。IT機器を例にとろう。周辺機器やアプリケーションにより機能が拡張…

IPv6統計データ

5月中旬の総務省の研究会で、Googleは次のように報告した。 IPv6 Statisticsでは、国別の比率も世界地図で色分け表示している(以下の数字は、いずれも記事執筆時点のもの)。これによれば、導入率が最も高いフランスが4.68%、次いでルーマニアが2.97%でそ…

新しい学習 〜 学び(Learn)、作り(Make)、わかちあう(Share)という体験を通じて 〜

「人を教えるということ - Nothing ventured, nothing gained. 」で書いたように、人に何かを教える場合には、座学として情報や知識を知ることと、それを自分のものとして身につけるために試すこと、そして理解したことをさらにほかの人に伝えることにより理…

人を教えるということ

先月末に、Hack For Japanの活動の一環として、石巻で高校生にプログラミングを教えてきた*1。情報教育については、以前にも体を使った情報教育や一生役立つコンピュータスキルという投稿で考えを述べたことがあるが、どちらも一般論について述べたに過ぎず…

デジタルとアナログと思いやりとかかる手間と 〜 手書きと電子メールをめぐって

少し前に、全文万年筆直筆でないと講演の依頼は受けないという発言*1の賛否をめぐり議論が生じたことがあったが、これだけでなく、手書きなどのアナログな手段が電子メールなどのデジタルな手段よりも丁寧であり、大事なお願いをするときなどは、きちんと手…

捨てる勇気とソーシャルメディアの使い分け

宗教にはまるのは、もちろんその宗教がその人にとって魅力的であるというのが一番の理由だ。しかし、それ以外にも理由がある。洗脳されて正常な判断ができなくなっているというのを別にすると、その人が費やした時間と労力を否定されたくないがあまり、その…

単機能と汎用と 〜 タブレットデバイスのあり方

前回の記事、「キーボードのある風景 〜 Surfaceの発表から」で、物理キーボードを持つデバイスが与える印象について考察した。記事では、物理キーボードが付くことで、仕事という日常が想起され、周りに圧迫感を与える懸念があることに言及した。Surfaceは…

キーボードのある風景 〜 Surfaceの発表から

風景はそこに存在する1つのもので大きく変わる。自然の中に突如現れたコンクリート建造物しかり、落ち着くバーに持ち込まれたデジタル機器しかり。マイクロソフトのSurfaceの発表を見て、2つの独立した感情を抱いた。1つは、一部メディアが「最終兵器」と呼…

ともだちってなんだろう - Facebookにおける対称性が強いる「ともだち踏み絵」

彼女とはどういう関係なんだろう。呑みに誘えば付き合ってくれるなど、二人で出かけることも多い。お互い好き合っているとは思うのだけれど、もしかしたら彼女からは単なる仲の良い異性の友人としか思われていないのかもしれない。このように悩んだ経験はな…

Webの未来とブラウザのこれからをデバイス連携から考えた

先日、ブラウザ技術について友人と話す機会があった。いろいろ、本当にいろいろな話をしたのだが、ブラウザとデバイスの連携についての話でも盛り上がった。Device APIと言われるような機能を始め、Gamepad APIなど、さまざまなデバイス系のAPIが提案され、…

Hack For Japan 復旧・復興支援制度データベースAPI ハッカソン

昨年の震災以来、数多くの支援制度が用意された。たとえば、被災した児童や生徒の就学を支援する制度がある。また、被災した自動車を買い換えるなどした場合、自動車重量税や自動車取得税などの税金が免除される制度もある。いずれも「探せば」わかるもので…

このブログが書籍化されました

2006年4月8日。この日が私がはてなでブログを書き始めた日だ。すでに、それから6年が経っている。当初は、単なる自分の備忘録のようなものだけを書いていたが、徐々に知ったことを共有したり、自分の意見を公開したりと、読者のことを考えて書くようになって…

プレゼンの達人への道 7カ条 - ただし、聴衆編

世にプレゼンの達人への道を説く書籍や資料は多くある。私もプレゼンをする機会が多いので、伝えたいことはある。だが、今回は視点を変えて、プレゼンに聴衆として参加する側の心得を書いてみる。プレゼンはプレゼンターからオーディエンス(聴衆)への一方…

さよならWindows Live

5年前に「帰ってきたHotmail」というブログ記事を書いた。一時、Windows Live Mailと改名されていたHotmailが、Windows Live Hotmailになったときに書いたものだ。すでに名前として認知されていたHotmailの名前を捨ててまで、Windows Liveというものに統一す…

写真が語るUXとUIの違い

Windows XPのXPがeXPerienceだったことを覚えている人がどのくらいいるかわからないが、正直、最初にユーザーエクスペリエンスと聞いたときに、どのように日本に定着させようかと悩んだ。略語を開くことなどあまり無いので、製品名などは大して心配はしなか…

ついにエンドユーザーの逆襲が始まった - 企業システムにおけるコンシューマーイノベーション

「イノベーションは会社内で起きているんじゃない。手のひらで起きているんだ!」 というように、ITにおいて多くのイノベーションがコンシューマーサイドで起きているということは、ここ数年の技術の進化を見ると明らかである。ソーシャルメディアにしても、…

Facebookでスパムアプリだと騒ぐ前に

Facebookで「許可もしていないのに、勝手にアプリが投稿している」と知人が言っていたので、調べてみた。Facebook上でアプリの動作を開始する際に、次のようにアプリはあなたのFacebook上の情報にどこまでアクセスするかとFacebookでどのように振舞うかを確…

リフレーズのススメ

レコーディングダイエットというのがある。記録をとることでカロリー摂取量などを可視化し、それに基づき適切なダイエットを進めるというものだ。製品開発でもそうだが、実情がわかっていないと、どこが本当の問題かわからない。感覚を大事にしなければいけ…

10年後も世界で通じるために

最初、Google+で書いたのだけれども、コメントなどで参考になる話が多く聞けたので、こちらにも展開したい。木曜日と金曜日に通称デブサミ、Developers Summit 2012に参加した。特定のベンダーや技術にとらわれることなく、広く技術から開発方法論まで話され…

運命に翻弄されたIPv6

「IPv6の利用が広がれば,あらゆる人や街が有機的にネットワークにつながる。このような世界を実現することにかけては,日本企業が一番だ。IPv6への取り組みで先行すれば,インターネットで独り勝ちしている米国を追い抜くこともできる」。2000年12月18〜19…

はてなが好きだ 〜 ダイアリーとブログの狭間で 〜

私は はてなが好きだ。前職のころ、当時近藤さんの書いた「『へんな会社』の作り方 常識にとらわれない『はてな』の超オープン経営」という本を読んで、えらく感銘を受けた。多くの情報を外部に対してさえ共有することの背景や技術者が自由に開発するための…

Twitterのお気に入りはなんのため

未だにTwitterのお気に入り(Favorite)の使い方を決めかねている。Twitterだけではなく、ブラウザのブックマーク/お気に入りも基本的には使い方は2つある*1。永続的に記録したいものと、一時的に記録しておきたいものだ。後者は「後で読む」的な使い方と…

ハッカー文化が日本を救う

吉岡弘隆さんという人がいる。IT業界では「カーネル読書会」の主宰者として知らない人はいないほどの有名人だ。実は吉岡さんはDECという会社での私の大先輩だ。私がソフトウェア本部で顧客向けのシステムの開発や販売をしていたころから社内で積極的に発言を…

不連続への挑戦

昨夜見たテレビに橋下新大阪市長が出ていた。制度疲労を起こしている現在の行政に対し、「不連続」への挑戦をしなければいけないと主張していた。近い将来破綻することがわかっている年金制度をネズミ講と酷評し、単に「続ける」ことだけを目的としているも…

IPv6への投資を無駄にしないために

2000年代前半にe-Japanという国家主導のIT戦略があった。世界トップのIT国家とすべく高速インターネットの世帯普及率を高め、電子政府システムや各種ネットサービスを充実させることを目的とした。森元首相が所信表明演説でITを国家戦略の柱にするとしたこと…

日テレの箱根駅伝サイトにみるデータの可視化の重要性

昨日と今日、恒例の箱根駅伝が行われた。母校が出場していることもあって、毎回楽しみにしている。今回も我が母校の後輩たちを応援したが、東洋大の各選手の走りがあり得ないぐらいに素晴らしく、とてもかなわなかった。往路では、じっくりと地デジでコース…