買って応援
VAIO株式会社が始動した。
各種報道によると、まずは国内市場に専念し、2015年度で30万~35万台の販売を目指すと言う。これは2014年度の2分の1ほどの販売数だ*1。世界出荷分では600万台前後を昨年売っていたことを考えると、20分の1ほどの規模にまで縮小したこととなる。社員数も1,100人から240人に縮小。
PC市場自体が停滞すること、もはやコモディティとなってしまったPCを開発/生産する上でこの販売台数規模では効率の追求も難しいことを考えると、極めて厳しい門出となったと思うのだが、私の周辺では極めて好意的に受け止めている人が多い。
それだけSONYとVAIOを愛している人が多いのだ。
このブランド価値が生きているうちに、どのような製品を出せるかが勝負だろう。
かつてアキアというPCメーカーがあった*2。元DELLの日本法人社長であった飯塚氏が立ち上げたメーカーで、デザイン性に優れたPCをダイレクトマーケティングで販売していた。その先進的なデザインなどから一時は少なからぬファンを集めるに至ったが、現在はすでに存在していない。不吉な予想になってしまったとしたら大変申し訳無いのだが、どこかこのアキアのことが私の頭の中に思い浮かぶ。
当時よりも、さらにコモディティ化が進んだPC市場の中で生き残るのは並大抵のことではない。
VAIO株式会社の始動を喜ぶVAIOファンは、「食べて応援」ならぬ「買って応援」したほうが良い。お手並み拝見などと言っている余裕は無いのかもしれない。
私自身はVAIOを購入したことが無い*3のでそこまでの思い入れは無いし、今はWindows PCを買う予定は無いので、しばらく購入することは無い。
だが、そんな私でも思わず買いたくなるような製品を出してくれることを期待している。そのためにも、VAIOファンの方々は今買うべきだ。他人任せで本当に申し訳ない。
VAIOに1つお願いするならば、余計なプリインストールアプリは一切外したモデルを用意して欲しい。家電量販店などで触ってみるとわかるが、現在のPCには多くのアプリケーションがプリインストールされている。
中にはユーザーの利便性を考え、プリインストールされているものもある。アンチウィルスソフトやユーザーサポート用のツールなどはそうだろう。
だが、それ以外にも多くのアプリケーションがメーカーの収入源確保のためにプリインストールされている。インストールされた台数やアクティベーション回数に応じてアプリケーションベンダーから収入が得られるということもあって、多くのPCメーカーがこのビジネスモデルを採用している。
昨今の厳しいビジネス状況を考えるとしかたないと思いつつも、闇雲にプリインストールアプリを増やすことは激しくユーザー体験を悪化させ、商品価値を下げる。
少し前になるが、知人からPCの調子が悪いからと言われて見た某社のPCには、アンチウィルスソフトが複数インストールできるようになっていた*4。
VAIOには是非、このようなところからこだわり、価格が高くても、さすがVAIOと言われるような製品を作って欲しい。
そのためには、まず、買って応援 ;-)
【追記】SONYロゴのないVAIO:“新生VAIO”で変わること、変わらないこと (1/2) - ITmedia PC USERによると、「ムダなものをそぎ落とし、(PCの)本質に近づくその過程で、人の心に突き刺さるVAIOらしい製品」を目指している模様。プリインストールアプリに関しても、「これまでプリインストールされていたソニー純正アプリの大部分が省かれた」とのこと。期待できるかもしれない。
*1:IDC調査では昨年度の国内販売は73.4万台
*2:今でも同名で再建された会社はあるが、液晶モニターのメーカーとなっている
*3:一度購入しようと思ったことはあるのだが、Sony Styleでの悪い体験があって購入を断念してしまった
*4:本来はプリインストールの契約でそれを禁止すべきだろう